#14
今回短めです、すみません
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「あ! リクぅ!!!! 心配したんやで」
「ああ、ごめんなリン。ちょっと執拗に追いかけまわされてた」
俺を見つけたリンは、即座に俺の元に駆け寄って俺を抱きしめてきた。
あまり女慣れしていない俺は、少しドキっとしてしまう。
ああ、女の子ってなんでこんなにもいい匂いなんだろう。
「リクはウチの大切な人なんやから死んじゃだめだぞ?」
「あ、ああ。そう簡単に死ぬつもりはないぞ」
大切な人、か。
俺なんかが辛い過去を持つリンの助けになれてるのなら、嬉しいな。
「いい感じの雰囲気の所すまないけど、リク。さっき君には何が見えたんだ?」
「そう、ウチも気になってた! まるで魂が抜けたーみたいにぼーと立ってるなと思ったら、いきなり動き出してウチを助けてくれたからさ!」
「それは……ちょっと言葉にしにくいんだけど聞いてくれ」
そうして俺は先ほど自分の身に起きた事を、ありのままにパーティの仲間に伝えた。
あまりにも現実離れした現象だったので、伝えるのには苦労したけど、自分なりに頑張って言葉を選んだつもりだ。
「うーん、端的に言えば未来視の能力か。聞いた事ないな」
「一番この世界に詳しいシュンが知らないんだったら、この場で解決するのは無理そうだな」
後で師匠にでも聞いてみる事にしよう。もしかしたら師匠なら答えが返ってくるかもしれない。
その日の帰り、俺達はグランザの城門前でとある冒険者に出会った。
なにやら悲痛な叫び声が聞こえたので、俺達は何事かと思い声の方へと駆け寄る。
「ヒール! ヒール! ヒール! ヒール!」
声の主は血だらけで倒れた男性冒険者二人に対して、必死にヒールと叫んでいる冒険者の少女だった。
一番行動が早かったのはハヤトだ。
倒れている冒険者の一人を抱き上げ、そして何かを確認したハヤトは暗い表情で静かに首を振った。
倒れている冒険者が死んでいるとしたら、ヒールをいくらかけても意味はない。
だってヒールはあくまで回復の魔術だからだ。
そしてこの世界にはドラクエのように、死者蘇生の魔術があるわけでもない。
死霊魔術で死体を動かす事はできるけど、それは蘇生とは決して言わないだろう。
死は等しく平等でいつ訪れるかは誰にも分からない――――、一週間の研修で俺に魔術を教えてくれた先輩冒険者はそう言っていた。
目の前の悲惨な光景に対してどうすればいいか分からずいると、別の先輩冒険者のパーティがやってきた。
「これは……ダンジョン帰りの連中か。こりゃぁ心が壊れちまってる。ダンジョンに心まで奪われたのか、可哀そうだな。おっと、後は俺達に任せろ、ひよっこ」
そう言って先輩冒険者達は泣きながら「ヒール!」と叫ぶ少女、それから彼女のパーティメンバーの亡骸を抱えて、街の方へと去っていった。
ダンジョンか。
ダンジョンとはここから少し先にある、魔物の狩場の事で、大昔に魔女が作った魔物の住処らしい。
らしいと言うのは、ダンジョンなどと言う今の俺達には高難易度な狩場に行く気はなかったので、そこまで調べていなかったからよく分からないのだ。
「よし、僕たちも気持ちを切り替えて宿に戻ろうか」
「そうだな」
ちょっと暗い雰囲気の中、俺達は貸し宿へと戻った。
明日は我が身と言うし、実際俺達だっていつ誰がどこで死んでもおかしくない。
現に今日だって俺の謎の未来視能力が無ければ、リンは死んでたんだ。
だからみんな他人事とは思えず、暗い雰囲気になってしまったんだろう。
その日は久しぶりにお風呂を沸かすことにした。
多分初めてゴブリンを討伐した日以来だと思う。
あの日よりもお金の余裕は出来てきたけど、まだまだ普通の生活をするにはお金が足りない。
もっと強くなってもっと稼げるようになって、そして有名になる。
そしていつか地球に帰ってやる。
今一度自分の目標を再確認した俺は一足早く風呂を出た。
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