天使の舞い降りた日

北上悠

インタリュード

 初めまして、人間。

 僕かい? 強いて言うなら、体と同じくらいの翼が生えていて、頭の上には光の輪が浮いている、両性具有の気怠げな天使ということにしよう。

 僕にとっては見た目なんてあまり重要じゃないんだけど、君たち人間にとって第一印象は重要なんだろう?

 さて、僕の説明が終わったところで本題に入ろうか。

 僕がこうして君に語りかけているのは、この世界についてもっとよく知るためなんだ。

 だって僕は——この世界を存続させるかどうかを確かめるためにこの世界に来たんだから。

 そんなに驚くことはないだろう?

 天使というのは本来、神の意思を伝えるための宣告者にすぎないからね。

 だから僕は、こうして人間から直接話を聞きに来たんだ。

 君にとってこの世界は存続するに値する素晴らしいものだと思うかい? それとも、この世界は存続するに値しないどうしようもない世界だと思うかい?

 え? 分からない?

 ……それは困ったな。

 分からないものは、評価のしようがない。

 なら、こうしよう。

 今まで僕が存続するかどうか選別してきた世界の話を教えるから、この世界が相対的にマシか、そうじゃないかを教えてくれるかい?

 そうだな……なら、まずはあの世界の話からしよう。

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