第4話

 翌朝、僕のスマホはヨムカクからの通知で溢れていた。 

 PV数は100万を超えており、コメントも追いきれないほどに書き込まれている。

「すげえ……」

 その画面を見ながら、まるで他人事のように僕は呟いた。

 こんなにバズっているってことは、もしかしたらこのままヨムカクコンで受賞してプロ作家デビューってこともありえるぞ。あるな、これは。絶対にあるぞ。僕はそう確信した。

 そして、その確信と共にひとつの不安が頭をもたげてきた。

 でも、この小説って書いたのはAIなんだよな。もし、AIが書いた小説では受賞できないってことになったらどうしよう。ここまでバズったのに、それはないだろ。そんなことを思いながらも、その不安を拭い去ることはできなかった。

 気づいた時、僕はワークスペースを開いて、小説の設定を書き変えようとしていた。

 タグにあるAI本文利用という文字を消し、AI不使用と書き変える。

 いいんだ、これでいいんだ。誰も気づかない。これは僕の小説なんだよ。別にAIを使わなくても書けたものなんだ。そう自分に言い聞かせて、僕はタグを書き変えた小説の設定を保存した。

 その後もしばらくはPVは上がり続けていた。250万を超えたあたりでさすがに落ち着いたのか、PV数が伸びなくなった。さすがにここまでバズれば、みんな読んじゃったかな。そんなことを思いながら、僕はコメント欄へと目をやる。

 コメントのほとんどは僕の小説を絶賛するコメントばかりで、それを眺めているだけで良い気分になっていた。

 しかし、ひとつのコメントを見つけた時、僕は肝を冷やすこととなった。

「この小説ってAI使っていますよね? タグ付けていないみたいですけれど」

 コメントにはそう書かれていた。コメントを書いたのは@からはじまる読み専さんのようで、その人のページを覗いてみたが小説はひとつも存在しなかった。

 手が震えていた。何がわかるんだ。お前に僕の何がわかるっていうんだ。マウスを操作すると、僕はそのコメントを削除し、そのユーザーをブロックした。

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