エピローグ

1週間もすると気持ちも落ち着いてきた。

そこでようやくこの先どうするかが悩みの種になった。そこで唯一頼ることが出来たラーメン屋の店主に相談することにした。


「地元に帰ろうと思うんですけどお金ないしどうしましょうか?なにかいい案ないですか?」

最悪ここで働いて家に帰る分のお金でも貯めればいいかな、そんなことを考えながら言うと

「どこに住んでるかは知らないけどこのお金使って帰りな」

と、5万も入った封筒を渡してくれた。

「こんなに頂けないです!」

そう言おうとしたが、店主は

「また元気な顔店に来てくれたらいいよ。」

と笑顔で言って店の準備に戻ってしまった。

どうしようか悩んだけど

「ありがとうございます!また来ます!」

大声で言って戻ることにした。なんとかブルーになってた間に新幹線は復旧していたようだ。

家に帰ることだけ考えて飲まず食わずで家に帰った。この後は必要なものだけ取って親戚の家に行こう。そんなことを考えて日が傾き始めた僕がよく知る道を1人歩くことにした。

途中家族全員で歩いたあの日を思い出しては泣くことはあったが、なんとか家に着くことが出来た。万一を考えて倉庫に鍵を隠しているが、まさか本当に万が一があるなんて...

そう思いながら中に入ると電気が付いていた。

もしかして泥棒か?と思ったが様子が違う。

恐る恐る扉を開けるとそこには良く見知った2人の顔があった。

「えっ!無事やったんか!」

驚いた顔をした父親と妹が駆け寄ってきた。

そんな姿を見ると僕は安堵してせきが外れるように涙が溢れてきた。


それからは姉が飛ぶように帰ってきて、親戚の家に行ってと忙しなくなった。落ち着いたのはあれから1ヶ月が経った頃だった。

正直テレビの取材が来た時は驚いたが、来てもおかしくないような経験だったので落ち着いて対応できた。

あとから聞いた話だが、商業施設で別れたあと、父親と妹は上層階のスポーツ施設へ、母親はお土産を買いに下層階の店に行ったそうだ。そしてあの放送のあと下では1箇所しかない階段で詰まって上に上がれる人はかなり少なかったそう。

一層僕が上に連れてけばと悔やむ結果になった。

しかし、この経験を経験した僕は多分強くなった。

そうして少し変わった日常がまた始まった。

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