3日目の過ち

昨日までの疲れからか、体を動かすとボキボキ鳴ってしまう。普段からもっと運動した方が良さそうだ。

今日はどうするのか思いながら家族全員揃ってレンタカーに乗り込む。どうやら海沿いの町を訪れるようだ。着くとそこには大きく、まだ綺麗で新しそうな商業施設が見えた。どうやらそこはショッピングモールと屋内型のスポーツ施設とその地域の展望台の複合型施設のようである。しかし、その前に昼時というのもあり、腹ごしらえをするために近くの定食屋に入った。牛肉の入ったカレーを食べ、追いついていると突然全員のスマホから警告音がけたたましく鳴り響いた。その直後真下から突き上げられたような感覚に陥った。


地震だ


全員がそう思った時には立てないほどの揺れが一帯を襲った。

幸い周囲の建物はヒビは入ったものの、倒壊せず避難が滞りなく進められていた。

どうやらこの地域の避難所には先程から見えていた商業施設が指定されているようだ。

旅行に来たタイミングでこんなことが起きるなんで運が悪いなぁと思っていると隣から声が聞こえた。

「大丈夫かな、帰れたらええけど...」

「新幹線とかも止まりそうやし会社に連絡しないとやな...」

両親は今後のことを気にしているようだった。

一方妹はそれほど気にしてないようで未だにうどんを食べているようだった。

しかし、ここで僕は昨日聞いた話を思い出した。

ここは海沿い。津波が来るかもしれないのでいち早く避難しないといけない。そのことを伝えると動き出した。

商業施設まではそれほど距離がなかったので歩いて向かうことになった。中は混乱で混雑していたらどうしようと思ったが、スポーツイベントは一時中断はしたものの、再開したようで、ショッピングモールも家族連れで賑わっていた。それほど津波は気にしてないようだった。

大丈夫なのか?と心配になった僕は1人展望台に登り、津波が来ていたら連絡をして、上まで上がってもらうことに決めた。エレベーターは止まっていたので階段で6階まで上がると遠くまで見渡すことが出来た。しかし、様子が変だ。川の水は濁り、遠くでは土煙も見える。


津波だ。しかもかなりのスピードで迫っており、もうすぐここにも到達する。すぐに連絡しようと思ったが、なぜか電波が上手く繋がらない。そうとなれば伝えるためにも館内放送をしてもらおうと思っていると誰かが報告したのか館内放送で津波が来ることが報じられた。すぐに周囲は焦りと怒りで包まれ、争うように僕がいる屋上まで登る姿が見えるようになった。その間も津波の様子を見ていると遠くで4階はありそうなマンションが飲み込まれていた。おそらく僕の顔は青ざめていただろう。このままだとここですら危ないのかもしれない。そして展望台はそれほど広くないのでぎゅうぎゅうに詰めたとしても全員は入れない。

そんなことを思っていると突然建物全体に強い衝撃が訪れた。遂に津波が到達したのだ。周りを見ても残っている建物はほとんどない。2階より上が流されている家もあった。まさに昨日見た資料館での画像と同じ景色だった。


幸い津波は商業施設の5階には届かず、そこまで避難できた人の多くは怪我すらなく助かった。

それから救急ヘリが到着する頃には日が落ちかけていた。

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