第5章：島の祝福と権力の影

（第5章　登場人物）

松谷和永：主人公。誠実で実直な料理人。麻衣子と共に島で新生活を始める。

松谷麻衣子：和永の妻。都会から島へ移住し、夫婦としての新しい人生を歩み始める。

佐藤信夫：総務課長。役場で二人の入籍を祝福する温かい人物。

山下幸三：人事課長。村長の意向を代弁し、麻衣子の採用取り消しを伝える冷徹な役人。

高橋明虎：寒鷺村長。表向きは温和だが、役場では絶対的権力を持ち、麻衣子を支配しようとする。

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（第5章　あらすじ）

フェリーで島に戻った和永と麻衣子は、役場で転入届と婚姻届を提出する。職員たちの拍手に迎えられ、島全体が二人の新生活を祝福しているように感じられた。だがその後、村長・高橋明虎の影が麻衣子に迫る。村長は彼女を「第二の妻」として支配しようとしていたことを明かし、入籍を知ると激怒する。麻衣子は毅然と拒絶し、夫との誓いを守り抜いた。

しかし三日後、人事課長からの電話で「地域おこし協力隊員としての寮母採用」が取り消されたことを知らされる。村長の権力による圧力で、麻衣子は「無職」となり、村人たちからも冷たい視線を浴びる。絶望に沈む麻衣子を、和永は「夫婦として新しい道を作ろう」と励まし、民宿のオヤジと相談して飲食店を始める計画を語る。麻衣子はその言葉に希望を取り戻し、二人は島での未来を共に築く決意を固める。翌朝、麻衣子は潮風を胸いっぱいに吸い込み「私はもう支配されない」と心に誓うのだった。

――つづく。