ばあちゃんの遺言で人を助ける俺、いつの間にかヤンデレたちに囲まれていた
RHM
第1話 おばあちゃんの遺言と告白現場
「悠ちゃん、今までありがとうね、悠ちゃんが産まれてきてくれて、ほんとに、ばあばは嬉しかったよ、悠ちゃんが大人になるまで見守ってあげれなくてごめんね」
おばあちゃんの瞼が少しずつ重くなってゆく
「おばあちゃん、おばあちゃん、僕が大人になるまで見ててよ、まだ…早いよ…」
伝えたいことは沢山あるのに言葉が詰まったことを覚えている
「悠人、人に優しく…困っていたる人がいたら助けてあげるんだよ、寄り添ってあげるだけでも救われ…ること…は……」
「わかった…約束する…おばあちゃん、おばあちゃん」
そこからおばあちゃんが目を覚ますことはなかった
涙の中、俺はこれからの人生で困ってる人がいたら絶対助けることを心に誓った
あれから8年が経った俺は先月から晴れて高校生だ
「ばあちゃん見ててな、俺絶対立派な大人になるから」
「てか、もうこんな時間!?やべ乗り遅れる」
そろそろ家でないと遅刻するので、慌てて駅へ向かった
「あっ席譲りますよ」
「いいのかい?」
「はい、荷物も重そうですし、もうすぐ着くので大丈夫ですよ」
「ありがとうね」
「いえいえ」
今日もいいことできたな、朝から気分がいい
ばあちゃん見てる?自慢の息子になるべく今日も頑張ってるよ
俺はあの日から困ってるいる人がいたら助けたり、誰もしたがらないような仕事を率先して行うようにしている
善人と思うかもしれないが、ばあちゃんとの約束を破り罪悪感を感じるのが嫌なだけなので偽善者だと思う
まぁ人に感謝されるのは気持ちいいんだけど
「よし、今日も一日頑張るか」
俺は改札を出て、高校へ向かった
「おっはよー、悠人昨日は勉強教えてくれてありがとうね!」
教室に着くと、隣の席で中学からの友達である清水 花怜が話しかけてきた
「おはよう、朝から元気だな」
「そりゃそうじゃん、悠人に会うの楽しみにしてたんだから」
「毎日会ってんじゃん、てか一限なんだっけ」
朝からエネルギッシュすぎたろ、それがいいとこでもあんだけど
「一限は現国だよ」
「ハイハイ、ありがとう」
俺は教科書を取りにロッカーへ向かった
「あー授業疲れた」
月曜日の学校めんどくさいんだよなー、あと4日もあんのかしんど
「お疲れ、相変わらず6限に数学はキツいよね」
「本当にそれ、月曜から重すぎる」
「悠人、今日も花壇行くの?」
「行く、毎日言ってるけど用事とかあるなら花怜は先に…」
「OK、私も行くー」
俺は高校に入ってから花壇の水やりやその周りの草むしりをやるのが日課になっていた
本来、美化委員の仕事なのだが、この学校に入ってまもない頃、花壇の花が枯れているのを目撃しそれ以降俺がやると決めた
1度、花に水をあげているのを目撃されてから花怜も手伝ってくれるようになった
「よし、今日もこんなとこかな、そろそろ帰るか、手伝ってくれてありがとな」
「毎日言ってるけどさ、私も好きでしてるから、感謝とか別にいらないって、花見るの好きだし」
「それでも、ありがとうな」
「うん、帰ろっか」
俺たちはその後談笑しながら駅へ向かった
「やっべ、定期ない」
駅に着くと定期がないことに気がついた
朝、教科書をとる時にロッカーにいれたのか?
そんなことある?
「えっ?大丈夫?どこかに落とした?」
「多分、学校だと思う…めんどくさいけど取りに戻るわ、じゃあまたあした」
「うん、またあした、気をつけてね」
電車代も無駄になるし仕方ないか、俺は嫌々学校へ向かった
「よかった、ロッカーにあって」
学校に入り、ロッカーを見ると定期があった
やはり教科書をとる時に入れたらしい、改めて考えても何故そうなったか分からない
よし、今度こそ帰るかそう思った時
教室の中から声が聞こえた
「ずっと好きでした、付き合ってください」
えっーと、まじか告白?俺聞いていいのか?
いや、駄目だ
帰ろうそう思った時
「わりぃ、俺他に好きな人がいる……気持ちは嬉しけど、幼馴染としてしか見れない、ごめん」
うわ、聞いちゃったよ、よりもよって振られてるところ、ごめん
そう思っていると足音が聞こえてきた
やば、隠れないと
教室のドアが開いて、男子生徒は、何も無かった感じで帰っていった
「うっ……ぐっ」
教室から泣き声が聞こえてくる
そっとしておくのがいいか
帰ろう、1人の方がいい時もあ……
「悠人、寄り添ってあげるだけでも…」
おばあちゃんの声が聞こえた気がした
寄り添うだけでもか………
誰かに聞いて貰えたら少しでも軽くなるかな?そう考えている時には既に教室に足が向かっていた
「えっと七瀬さん、大丈夫?」
教室にいたのは、クラスの中心人物で、可愛いと噂の七瀬楓さんだった
彼女とは、朝に挨拶するくらいしか接点がない
七瀬さんの体は僅かに震えており、泣くのを堪えているようだった
「鈴木君?なんでいるの?」
七瀬さんはゆっくりと顔をあげた
「えーーっと、定期をロッカーに忘れて…」
「もしかして、聞いちゃった?」
「あっえーごめん」
「別に怒ってないよ、それに大丈夫、明日には元気になってるよ」
七瀬さんは笑ってそう言っているけど、体は震えたままだった
「寄り添ってあげるだけでも…か」
「えっ?何か言った?」
「七瀬さんは1人になりたいかもだけど、1人より誰かに話した方がスッキリすることもあるかもしれないから、七瀬さんが嫌じゃなかったら、俺に…」
「う、うぅ…………っ」
俺が途中で言いかけた時七瀬さんは再び泣き出してしまった
「ごめん…流石に過干渉だったよね、ごめん帰るね、七瀬さんも気をつけ…」
「う、待ッテ」
七瀬さんは泣きながらもそう言った
「あっこれティッシュいる?」
七瀬さんにティッシュを手渡す
俺はただ何も言わず七瀬さんの横に座った
2、3分が経ったのだろうか?
七瀬さんも少し落ち着いて来た
「ありがとう、少し落ち着いた」
「そっか、よかったまた辛くなったら言って話聞いたり、そばにいることならいつでも出来るから」
「ありがとう、」
さて、このままいい感じに帰るか
「じゃあ、明日の昼、屋上来てよ、誰もいないから」
「えっ?」
「話聞いてくれるんでしょ」
「わかった、行くよ」
「じゃあ、またあしたね、今日は、本当にありがとう」
そういうと七瀬さんは逃げるように帰っていった
ばあちゃんとの約束守れたし、これで良かったんだよな
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