第10話 自称賢者は決闘の準備をする
「時間は充分ある。早速始めよう。」
「セージさん、一体何をするのですか?」
「がうー?」
「勿論決闘の準備だよ。」
俺達は家に帰ってすぐに行動に入る。道具を用意した後、アリスに案内してもらって街の側の森に入ったんだ。
「結構広いな。ここなら安心して準備できるよ。」
早速俺は道具を取り出す。使うのは杖と……
「これって、セージさんが使うカードなのです?」
「ああ。」
デッキホルダーから大量のカードを取り出す。まずは中身を確認して、足りない魔法を探す作業だ。
「ブレイズは良し、シールドガードはもう少し補充するか。ライトニングは随分使ったからな。後必要なカードは…………」
「?」
ポカンと口を開けるアリス。ちょっと難しそうな顔をしているな。
「あ、あの。セージさんは賢者なのですよね?」
「ああ。」
「でもカード使ってるのですよ?」
「まあな。」
足りない物は確認できた。俺は持ってきた袋を取り出し、中からカードを引き抜く。
「ここで良いか。」
それを石の上に置いて、杖を構えるんだ。魔力を込めて、狙いを定めて……
「ライトニング!」
杖の先から電撃が飛び出す。狙うのはカードだ!
「ひゃっ!?こ、こんな場所で撃ったら火事になるのですよ!?」
「大丈夫だよ、ちょっと見ててくれ。」
「えっ……えっ!?」
俺の魔法はカードに吸い込まれる。しばらくバチバチと光っていたがすぐに落ち着いた。
「成功だ。まずは1枚!」
最後にカードを手に取り、デッキホルダーに収める。
「えっ?な、何が起こったのですか?」
「カードに魔法を収納したんだよ。これでいつでも取り出せる。」
「な………何なのですかそれ!?見た事も聞いた事も無いのです!」
「なら今日は記念日だな、両方体験できたぞ!」
「そういう話じゃ無いのですー!」
「さて続けよう。今度は、シールドガード!」
続いて盾の魔法を展開する。これもカードに吸い込まれ、すぐに見えなくなった。
「枚数を用意するからちょっと時間がかかる。アリス達はどうする?」
「け、見学するのです!珍しいから興味があるのです!」
「がうー。」
「分かった。二人とも見ていてくれ!」
アリスはコボルトを抱っこした状態でじっとこちらを見つめている。さて、失敗しないように集中するかな。
「もう1枚、ライトニング!」
「おおおお!」
「がうー!」
「魔法の補充はできた、ここで一度休もうかな。」
「お疲れ様なのです!これはサンドイッチなのです!」
「ありがとうアリス!ちょうど腹が減っていたんだ!」
「がうー!」
今日の昼食はサンドイッチに果物のジュース。両方ともアリスの手作りだ!
「ケーキは買えなかったので、その分材料を買ったのです!滅多に食べられないハムを入れたのです!」
「塩味が美味しいな。疲れた時にはこの1枚!な旨さだ!」
「がう!」
俺達はサンドイッチを食べながら、のんびりと景色を眺めていた。何もせずに流れる時間、これも中々良いものだな。
「セージさん?」
「どうしたアリス?」
「なんだかとっても嬉しそうなのです!」
「そうだな。皆で食べる食事は楽しいさ!」
「ならどんどん食べるのです、たくさん作ったのですよ!」
「あ、ああ。」
お、多いな……だけどアリスが作ってくれた手料理だ、食べない選択肢は無い!
「コボルト、アリス。たくさん食べて力をつけるぞ!」
「はーい!」
「がうー!」
「それにしても、セージさんは凄いのです。知らない戦い方にびっくりなのです。」
「これは俺の力に合わせた戦い方なんだ。ある人に教えて貰ったんだよ。」
「せ、セージさんより凄い人がいるのですか……?」
「ああ。さ、早く食べて今日は帰ろう。」
「え!?もう終わりなのですか!?」
「この準備には魔力を使うんだ。俺はもう限界なんだよ。」
そう。魔力を鍛えたのはこの為だ。カードの準備で魔力を大量に使う。あまり多用はできないんだよ。
「それでは今日はどうするのですか?」
「もう休むよ。燃費が悪いのが難点だな……。」
「がうー?」
「ありがとうコボルト。じゃあ、戻ろうか。」
今日はかなりいい調子だった。このまま後2日で調整すればいい。待っていろ、サイモン……!
そしてあっという間に日は流れ……今日は決闘の日だ。準備は万全、いつでもやれる。
「セージさん、おはようございますなのです。何をしているのですか?」
「おはようアリス。最後に確認をしようと思ってね。」
「ど、どうですか?勝てそうですか?」
心配そうに俺を見るアリス。ありがとう、でも俺なら大丈夫。
「絶対勝てるさ!だからアリス、コボルトと一緒に応援してくれ!」
「は……はい!全力で応援するのです!」
「がうー!」
「コボルトも準備できたようだな。じゃあ…………行こう!」
俺達は受付さんの所へ歩き出す。サイモンがどんな手を使おうとも……俺は負けない!
「あ!セージさん、アリスさん!」
「おはよう受付さん!どうだ、奴は来てるか?」
「は、はい!裏の訓練場で待っています。」
「ありがとう。行ってくるよ!」
「あの!」
受付さん、どうしたんだ?
「私達も応援しますから!絶対に負けないで下さい!」
「……勿論だ!」
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