第6話 自称賢者と戦士、スライムを圧倒する

「まずは小さいスライムを倒すぞ!」


 俺はデッキホルダーからカードを引き抜き、奴らに投げる。最初はこれを使おう!


「ブレイズ!」


「おおー!私の時にも使った魔法なのです!」


 まずは爆炎で数を減らす!小さいスライムはこれで吹き飛ばせる。


「アリス、接近してくれ!」


「はいなのです!」


 スライムは俺達に気づいて臨戦態勢に入った。水鉄砲を飛ばしてきたな。


「避けられるか?」


「これ位何とも無いのですよ!」


 素早く動いてスライム達の後ろを取った!やるなアリス!


「えいっ!」


 プシュ。


「やったのです!」


 スライムの核を短剣で真っ二つ、すると身体が溶けるように地面に伸びて蒸発した。


「俺はこれだ!」


 次はカードを空高く投げる。スライム達をできるだけ捕捉して……


「ライトニング!」


 雷の魔法で核を射抜く!勿論アリスには当たらない、調節も完璧だ!


「一気に減ったのです!この調子で進むのです!のわっ!?」


「足元を取られたか!」


 スライムの触手にアリスが捕まった。だが、俺もようやく追いついた!


「もう一度、ライトニング!」


 今度は俺の正面にカードを突き出し魔法を発動!1体の核を撃ち抜いた!


「わぁぁぁ!?」


「アリス!」


 両手を出してナイスキャッチだ、間に合ったぞ!


「ありがとうなのです!」


「う、腕が痺れる……」


「せ、セージさん?」


「上からの加速がキツイな。だが無事で良かった。」


「セージさんのおかげなのです!」






 プシュー。



「き、来たのです!橋から動いたのです!」


「次は親玉も動く様だな。」


 あの巨大なスライムがおそらくリーダーだろう。プルプルと身体を揺らし、こちらを向いたようだ。


「ライトニング!」


 俺はカードを抜き、奴に電撃を浴びせる。先手必勝だ。


 プシュー!


「き、効いてないのです!?」


「やはり丈夫に育った様だな……!」


 身体を削ったが核まで届かない。通すには連続攻撃が必要だ!


「アリス、俺がスライムの身体を吹き飛ばす!お前が核を叩くんだ!」


「えっ!?む、無理なのです!私は先輩でも、ベテランではないのですよー!?」


「あれだけ成長していると、恐らく再生も早いぞ、何とかならないか?」


 難しいのは分かっている、だがこれが一番確実だ。


「どうしても無理なら俺がやるが……どうするアリス?」


「ど、どうすると言われても難しいのですよー!?お、大型の魔物は怖いのですー!?」


 そうか……確かに怖いよな。俺だって初めはそうだったな。









「なら、今回は俺がやる。アリスは見ていてくれ!」


「は、はいなのです!」


 俺はデッキホルダーから3枚カードを引く。このカードなら奴に対抗できるぞ!


「さあ、始めようか!」


 まず1枚、俺はカードを天に掲げる!


 プシュー!


「せ、セージさん危ないのです!」


「大丈夫だ!まずは……テレポート!」


「えっ!?」


 プシュー!?


 短距離を移動できる魔法、テレポート。これで少し距離を縮める。


 プシュー!


 たくさんの触手で一斉に狙ってきたか、だがこれなら関係無い!


「2枚目……ノヴァ・ストリーム!」


 ドラゴンを倒した銀色の光線、これで触手ごと本体を薙ぎ払う!近距離で身体を削るんだ!


 プシュー!?


「核が見えたのです!水の部分が無くなったのです!」


 上半分の水分が蒸発した、これでむき出しの核を狙える!


「3枚目!その核……取らせてもらうぞ!」


 核に狙いを定めて魔法を叫ぶ。俺の手には……!


「ライトニング!」


 狙い通り、電撃が核を直撃する。良いぞ、今度は完全に捉えた!


 プシューー!?


 スライムは身体をくねらせ逃げようとする。だが、もう終わりだ。


「俺達の勝ちだ!」


 パンッ!


 そしてスライムの核が爆散し、身体が地面に溶けていった。これで完全に無力化できたな。








「大きいスライムは倒せたが、他のスライム達はどうだ?」


「慌てて逃げちゃったのです。きっと住処に帰ったのですよー。」


「それなら良かった。もうここには来ないだろう。」


 これで依頼達成だ、周りを確認してから村に戻ろう。


「あ、あの。セージさん。」


「ありがとうアリス。助かったよ!」


「その……ごめんなさいなのです。私、最後の攻撃に参加できなかったのです。」


「大丈夫さ。あの素早さで的確に攻撃できるんだ、アリスはもっと強くなる。流石先輩だな!」


「むー……まるでセージさんの方が先輩みたいなのです!もっと敬って欲しいのですよ!」


「その元気があれば心配無い。とにかく、これで村の人達も安心だ!」


「で、ですね。セージさん、確認早く済ませるのです!」


俺達はスライムの核の残骸を回収し、周り。警戒。と言っても特に異常は無さそう……









「クゥーン……。」










「アリス。今聞こえたか?」


「はいなのです。」


 一瞬だが魔物の声が聞こえた。まだ何かいる様だな。


「俺が様子見をするから、アリスは動けるよう待機してくれ。」


「了解なのです!」


 俺はホルダーに手を掛けながら後ろを向く。どこだ、どこにいる?





「クゥーン……。」


「そこかっ……あっ。」


 橋の下、スライムがいた場所だ。近づいて覗いてみると、そこには……


「こ、コボルト?」


 獣型の小さい魔物、コボルトが横たわっていた。


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