帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者
東導 号
第1話「桜の木の下で」
とある日の晩、俺は、夢を見ている。
懐かしい故郷の夢だ。
今はどこにも存在しない幻の故郷。
開発で変わってしまった……
真っ蒼な広い空。
流れる、白い千切れ雲。
大きく、ゆっくり流れる川。
土で出来た、高い土手。
狭い河川敷。
整地されていない、石がいくつも転がった野球場。
イカの燻製でザリガニを釣った用水路。
カエルがうるさく鳴き、トンボが飛ぶ小さな池。
大きなカブトムシが、たくさん居る雑木林。
春になると、ピンクのレンゲソウが咲く田んぼ。
白い蝶が、飛び遊ぶ畑。
舗装されていない乾いた土の道。
風雨にさらされ古びた家が、並ぶ町並み。
その中にある、自分の家。
土手の上には道があって、両脇には桜の木が何本も植えられていた。
あの日は桜が満開で、とっても綺麗だったっけ。
ピンク色の桜の花びらが、いっぱい舞う中……
幼く小さな子供だった俺は『誰か』と手をつないで歩いている。
何か、とても大事な大事な約束をした気がする。
約束をした相手が誰なのか……
そしてどのような約束をしたのかは……
どうしても、思い出せない。
………………………
ここで、ハッとして目が覚めた。
幼い頃、わけあって遠く故郷を離れてから……
久々に、そんな夢を見た……
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