第2話 「妄想版」 少子化 ガンダム

産業革命により爆発的に人口を増やしはじめた地球。

それは資源の不足、環境問題、そして人類同士による戦争という数々の過ちを引き起こすこととなった。

戦争はあるひとつの国家の犠牲により終結し、既に1世紀が過ぎていた。


問題を起こすきっかけとなった人口増加は続くと思われていた。

しかし価値観の変化、経済的負担の増大、女性の高学歴化と社会進出、結婚・出産を取り巻く環境の変化により、今では「少子高齢化社会」が新たな問題として取り上げられることとなっている。


かつてSFアニメでは語られていた。

人口の爆発的な増加の解決策として宇宙へ希望を見出し、巨大な人工都市であるコロニーの建設、そして巨大ロボットの軍事利用。

それらはただの夢物語となっていたのだ。


人類の第二の故郷という妄想は存在意義を失っており、これまでと同じ地球での平和な暮らしが続いていくことを誰もが望んでいた。

しかしそれは突然に終わりを告げることとなる。


かつて世界に大きな影響を与えたソビエトという連邦国家があったが、それは時とともに解体され、多くが独立することとなっていた。

その中でも最大規模であるロシアが、現世界の中心国家とも呼べるアメリカに対し時代錯誤とも思われる宣戦布告をしたのだ。


いつの頃からか地球の中心となったアメリカに対し、プライドを傷付けられてきた積年の思いが爆発したのだろうか。

ロシアは国連を脱退し、自らを「ジオン公国」と名前を変えるという覚悟を見せ、世界を恐怖に陥れたのだ。


ジオン公国は、ザクと呼ばれる人型の巨大なロボット「モビルスーツ」の開発を成功させたことをきっかけに圧力をかけることとなる。

人型の巨大ロボットなど非合理的な存在、それは漫画やアニメなどのSF世界だけで活躍が許される不遇の存在、そう思われていた。


だがジオンはモビルスーツで圧倒的な力を見せつけたのではなかった。

それに自分たちの未来を賭けたと言うよりも、それしかもう残っていないというのが本音。

ジオンはかつて夢見ていた巨大ロボットなどという存在を秘密裏に研究し開発を進めていたのだ。


致命的とも思える経済不況を引き起こしていたのもそれが大きな原因ではあったのだが、国家の上層部はみな口を揃えて言っていた、「ジークジオン!!!」と。

意味もわからないものではあるが、その言葉を口にするだけで不思議と力が湧いてくるとのことだった。


意外にもアメリカは冷静に戦争を受け入れたのだ。

地球をジオンだけのものにするわけにはいかない、それが人類の総意なのだ。

アメリカはジオン公国に対し、「地球連邦政府」と自らを称しジオン公国を糾弾することとなった。


ジオン公国はザビ家という古くからの貴族階級が政治の中心を担っていた。

彼らはかつてソビエトと呼ばれていた頃に、当時の最高指導者であるジオン・ダイクン・ゴルバチョフを暗殺したとも言われていたがその証拠は残されていなかった。


ジオン公国のMS部隊の最高責任者であるシャア・アズナブル。

彼は赤い彗星などと国内で呼ばれており、ザビ家の信頼も厚い若きエースパイロット。

ただ彼はジオン・ダイクン・ゴルバチョフが残した実子だという噂もあった。


シャアは戦いの狼煙をあげるかのように、地球連邦政府の前身であるアメリカの大統領公邸ホワイトハウスの襲撃を決行した。

いかにホワイトハウスと言えど、モビルスーツの前には手も足も出ないだろうと踏んでいたシャアであったが、それは思慮にかける行為であった。


ジオン公国は、自分たちだけが戦争のための秘密兵器であるモビルスーツ開発を成功させていたと思っていたがそうではなかった。

地球連邦政府、アメリカもまた秘密裏に開発を進めていた、それは「V作戦」と呼ばれるものだった。


シャア率いるザクの軍勢を前に、ホワイトハウスは轟音とともに浮上し、数々の砲台、鋼鉄による武装が施された巨大戦艦となった。

「ホワイトベース発進!」

初代艦長となったブライトノアの掛け声とともに、主砲がザクへと向けられる。


「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを。」

シャアはポツリとこぼし全軍を一時撤退。

のちに白い木馬と言われたホワイトベースの存在は一夜にしてジオン公国にも知れ渡る。


しかしシャアは気づいていなかった。

連邦政府の切り札は別にあることを。

ジオン公国を破滅へと導き、白い悪魔、と呼ばれる存在「ガンダム」

そしてそれを操る「アムロレイ」というニュータイプという改造手術を施された人間がいることを。

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