第26話 伝説のキャリーちゃん登場


「いや〜久しぶりの日光は気持ちいね〜」

 レイチェルは取り敢えずついてくることになったのだが、本人は結構脳天気である。


「蒼字(そうじ)さん急ぎましょオーバンさん達が気になります。まだダンジョンの中かもしれません。門番の方に聞けば分かるはずです」


「了解!」

 脳天気なレイチェルを説得して走って入口に向う。


……………▽


「すまないが急いでくれ!」


「分かった!緊急クエストを発注する。君達も休むんだ!」


「俺もそこに同行させてくれリル達を助けに行く」


「リッシュ……気持ちは分かるが、今のお前に何が出来る。急いで上がって来たから体力は残ってないだろうが」


「それでも行く。関係ない!」


「た〜く、あそこより下層の魔物にお前じゃ対応出来ね〜、邪魔なだけだ!俺だってホントは行きて〜けど、足手まといにしかならないんだよ!」

 悔しそうに歯を噛みしめるオーバン


「それでも俺は…待ってられないんだよ!父ちゃん」


「リッシュ………分かった。父ちゃんも行く!お前は俺が守る」



………………▽


 どうしよう………なんか入りづらい。でも時間が経てば経つほど盛り上がりそうで、そのうち全員で行くとか言いそう。


 迷っている蒼字(そうじ)を横目にリルが声をかけてくれた。


「オーバンさん〜私達は無事です。ご心配をかけてすいませんでした」


 俺達を見てみんな驚いていたがすぐに歓喜の声が上がった。


 それから色々と聞かれたが、20階層については話すのを止めた。レイチェルの件があるからだけではなく50階層の門が気になる。何と言うか、触れてはいけないそんな感じがする。だから今は冒険者ギルドにも情報は出さない。


 それから帰宅、オーバンさんは祝勝会をしたかったらしいが、メンバーも含めて俺もヘトヘトに疲れていた為、後日となり帰宅した。


 レイチェルに関してはパンさんか快く泊めてくれた。

 

「うまうまうま〜」

 今日も元気に歓喜の雄叫びを上げ食べているレイチェル


「良かった、美味しいですかおかわりも沢山あるので食べて下さいね!」

 チーちゃんのご飯は本当に美味しい!

 すでに熟練の技を感じる旨さだ!


 前から気にはなっていたけどチーちゃんのお母さんはどこに行ってるんだろう。亡くなっているってことはなさそうだけど……


…………▽


 部屋に行き寝っ転がる。

 あ〜疲れた。眠りたい所だけど気になるし

 見ておくか!


『ステータス 転記』


……………………………………………………………


『ソウジ サナダ』 Lv:10→15  


種族:ヒト族

年齢:17

職業:冒険者 ランクD

称号:女神のうっかりの産物

  ∶霊能力者

  ∶筆使い

  ∶聖剣を授かりし者

加護∶特になし

魔法:なし


HP:5000→6500(+0)

MP∶1025000→1040000(+0)

気力∶3000→3200(+0)

魔力(霊力):18000→20000(+0)

筋力:1800→1900(+0)

耐久:2300→2400(+50)

敏捷:2100→2200(+20)

運 ∶100(+0)

スタミナ∶1350→1400(+0)


※( )は武器、防具、装飾品等による数値向上分です。


技能:固有スキル『書道神級』

        『霊との対話』Lv.8

        『除霊』Lv.8

∶コモンスキル『剣術、槍術、体術等……』Lv.3

         『言語理解』Lv.1


……………………………………………………………



 聖剣は授かってないから!預かっただけだから!


 ……それにしても運って上がんないのか?

 100の値がどの程度かは分からないけど、もうちょっと欲しいな。どうやったら上がるんだろう。


 明日リルに聞いてみようかな……


 寝転がっていると「カタカタ」と音が聞こえる。どこから聞こえるのかと探してみるとそれはすぐにわかった。エクスキャリバーからだ。


 なんだろうと思い手にとってみると、


「バン」……「痛い!?」


 鞘が弾けて飛んできた。何なんだよ〜もう!


 鞘は跡形もなく飛び散っていた。


「ちょっと〜私をこんなところに入れるなんて!何考えてるのよ!」


 ………………剣が喋った⁉


「おまえ何者だ!」


「あんた人を勝手に連れて来ておいて失礼ね〜私のこと知らないわけ〜」


 えらい強気の発言の仕方、ある程度泳がせるか。


「知らないわけじゃないけどエクスキャリバーだよな?」


「まったく知らないわけではないようね。そう、私は聖剣エクスキャリバーみんなからはキャリーちゃんと呼ばれているわ」


 聖剣に意思があったとは驚きだ。キャリーちゃん、それで良いのか?


「…………それじゃ〜キャリーちゃん何か問題がありましたでしょうか?」


「ありまくりよ!どう言うつもり!」


「何が?」


「こんな所に私を突っ込むなんてどうかしてるわ!」


「こんな所とは先程弾け飛んだ鞘のことでしょうか?」


「そうよ!私を入れていいのはサーヤだけよ!」


 なんとなく卑猥な響きだがそこはスルーして、


「サーヤとはどちら様でしょうか?」


「それは私の愛しい鞘よ!」


「サーヤって鞘ね!女性同士だけど今の時代、それもありなのかな?うん」

 納得しきれなくても納得はしておく。


「なに勘違いしてるのよ!私は剣、サーヤは鞘よ!性別なんてある訳ないでしょ」


 ………冷静に考えればそうだよ。何考えてるんだ俺


「そう言われてもですね!サーヤはここには居ないわけで、しばらくは適当な鞘で我慢してくれませんかね〜」


「無理よ!」


「そんな我儘言わないで」


「別に我儘だけで言ってるわけじゃないわよ!私のはち切れんばかりの魔力に耐えれないから、いつもバーストしちゃうの!私を毎度素っ裸にする気!この変態」


 ふざけんな!剣身で興奮するわけないだろ。

 ただキャリーが言いたい内容はわかった。

 つまりその辺の鞘では俺が毎度痛い目にあうわけで出来れば避けたい。でも………


「キャリーちゃんを王族なのか王様なのかは分かんないけどさっさと渡せばいいのか?」


「あんたバカでしょ」

 

 げ⁉剣にバカにされた!


「良く考えなさいよ!あんたみたいな怪しいやつどうやってそいつらに会うのよ!アンタなんか門で捕まって終わりよ〜それに剥き出しの剣を献上する気!鞘を用意しなさいよ鞘を!サーヤを探しなさいよ!」


 面倒くせ〜なんか捨てたくなってきた。

 でもアーサーさんに悪いしどうしよう。


「いい!私はサーヤ以外は認めないから分かった!」


 こうしてサーヤを探す手間が増えた。ガクッ。


 

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