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ある日、朋菜は新しい本を読んでいた。

「朋菜様、何をお読みに?」

「為永春水の『春色梅児誉美』だよ」

すると松前は、朋菜の本を取り上げた。

「何するの!?」

「朋菜様は、こんな物を読んではいけません!」

「どうして?」

「そのような人情本や合巻は、天保の改革で弾圧されているんです。とにかく、これらの本は僕が没収いたします」

本を奪われた朋菜は、仕方なしに絵を見ることにした。浮世絵を見ていると、とある1枚の風景画に目を留めた。

「これは?」

「葛飾北斎の『富獄三十六景』です。ちなみに、その隣にあるのが歌川広重の『東海道五十三次』です。ところで朋菜様、モネやゴッホといった名前はご存じですか?」

「……聞いたことはある」

「実は彼ら、こういったヨーロッパ印象派に多大な影響を及ぼした作品を残したのです」

「へぇ……」

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