江戸JK

ことか

朋菜は気づけば江戸時代にタイムスリップしていた。

「ここ、どこ…?スマホも圏外になってる…」

その時、どこからか将軍らしき人の叫び声がした。この時代だと、もしかして島原の乱?

ドドドド…!

馬の足音が鳴りやまない。

「君、危ないぞ」

誰かの声がした。見上げると、目の前には武将らしき人が立っていた。

「おい、今の状態でその格好は何だ?」

「えっ?」

そういえば、周りを見ても武士服や質素な服装の人が多い。それに比べ朋菜は…高校の制服。

「こっちに来い」

は?え?

朋菜はその武将に言われるがまま、とある家屋に連れていかれた。

到着した家屋は、とても大きくて広く、上の立場がいそうな所だった。

「お前、キリスト教を信仰していないよな?」

「してないですけど…」

「じゃあ、この絵も踏めるって事だな。踏んでみろ」

朋菜は目の前に差し出された絵を踏んでみる。これは確か…、絵踏みとかいうやつ。

「…よし」

「何だったのですか?」

「この絵を踏まない者は、キリスト教の信仰者、いわゆるキリシタンと見なし、処刑する。お前は幸運だな、処刑されずに済むぞ」

しょ、処刑…!そんなの、授業で習ったっけ…

あ、習ってたわ。しかも、ついこの前。

「ん!?」

「今度は何ですか」

「お前、その名札…か?それ…何て書いているんだ?」

朋菜は高校の名札を外し、武将に見せる。

「上杉 、ですけど」

「上杉!?もしかしてお前、あの上杉謙信の子孫か!?」

「…よく分からないですけど、確かお兄ちゃんが上杉謙信の子孫だって言ってた気が…」

「今すぐ後水尾天皇様に報告だ!」

「はい!?」

いきなり連れて来られ、朋菜は天皇家らしき建物に到着した。

「天皇に報告してきた。お前はこれから、ここに住んでもよいと天皇様がおっしゃっていたぞ。じゃ、俺はこれで行く」

「あの…!」

「何だ」

「…ありがとうございます」

「…ああ」

そう言って武将はその場を立ち去った。

それと同時に、朋菜は令和時代にすぐには帰れないと知り、そのまま途方に暮れていた。

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