キラリが囁く夜

ヒラク

プロローグ

 光が溢れた夜の街は、影がどこに潜んでいるのか分からない。


 人々の笑い声も、ネオンの瞬きも、俺の意識の表面を滑るだけだ。

 誰かが遠くから呼ぶ気配。

 風がひとすじ、頬を撫でた。


 振り返る勇気はなかった。

 ただ、そこに何かが立っているのだけは分かった。

 人の形かさえ曖昧な薄い影。

 光に照らされれば溶けてしまいそうなのに、決して消えることはない。


 耳の奥で囁きを感じた。

 言葉じゃないのに意味だけが届く。


 ――見つけた。


 瞬間、心臓が跳ね視界の端が銀色に滲んだ。

 息を忘れた。

 ついに、この街で追いつかれてしまった。


 光が一つ瞬き、影がゆっくりと俺の方へ近づいてくる。

 夜が静かに形を変え始めていた。

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