異端者達のメメント・モリ
Mr.M
プロローグ
第1話 『テングビル』
宿禰市葛城町4丁目4番地にある
『テングビル』は
オーナーの
麒麟(きりん)
が40年ほど前に建てた
鉄筋コンクリートの4階建てのビルだった。
1階は『ひととせ』という食事処で、
2階から上が居住空間になっていた。
各フロアに2住戸。
エレベーターは無かった。
『テングビル』には麒麟と
その息子の如月(きさらぎ)
そして。
如月の4人の子供達が暮らしていた。
子供達は上から
長男の清明(せいめい)が18歳。
次男の白露(はくろ)と
長女の立夏(りっか)は
秋と夏にそれぞれ17歳と16歳になる。
そして立夏の2つ下に
末息子の冬至(とうじ)がいた。
201号室は
如月の部屋で
1年前に妻のやよいが亡くなるまでは
夫婦2人で住んでいた。
202号室には
立夏が住んでいたが、
彼女はこの春から稲置市にある女子高、
『私立傾城学園』
に入学して寮生活を送っていた。
301号室には
清明が住んでいた。
302号室は
白露と冬至の部屋だったが、
白露は5年前、
小学6年生の時に家出をして
いまだに音信不通だった。
一家の長であり、
今年70歳になる麒麟は4階の
401号室に1人で暮らしていた。
402号室は空き部屋である。
そして。
1階にある『ひととせ』は
やよいが亡くなってからは
如月が1人で切り盛りしていた。
4人掛けのテーブル席が4つと
4人が座れるカウンター席だけの
こじんまりとした店だった。
営業時間は18時から24時まで。
客はそれほど多くはなく、
店は細々と営業を続けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます