⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎探偵

 言い終わると、なぜかサトウを除く三百三十三名の探偵たちがきょとんとした顔で俺を見ていた。

 このような状況に俺は覚えがあった。

 同業者たちから二重人格探偵と呼ばれる俺の肉体には、もうひとりスズキという名の女性の人格が共存しているのは知っていた。

 俺には時間が連続しているように感じていたが、きっと直前までスズキのやつが現れてなにかを言っていたんだろう。目の前の反応は直前まであいつが現れていたときのお決まりのものだった。

 よく考えると、俺には探偵としてここに集められた記憶がなかった。つまり俺がここにいる理由は、俺でなくスズキの存在にあるのかもしれなかった。

 “俺は探偵としてここに連れてこられた訳ではない”、それが俺が最初に推理すべき事柄だったようだ。

 誰もが混乱した様子だった。俺がこれからどうなるのか、見当がついている人間は、俺を含めその場に一人もいなさそうだった。

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