第22話 若者たち
「勝者!バラーズ・ジム次鋒、テス・バル!!」
「テース! テース! テース! テース!」
「や、やあやあ、どもども。はは」
テスは慣れない歓声に、苦笑しながら手を振って答えている。
「あいつやるなぁ」
「テスは強いよ、若いしな……」
「そうだな、若さはな……眩しいな」
こいつらは爺さんか? 訝しげに横目で見ると、アマリがそれに気がついた。
「あ、年齢言ってないっけ? 俺とピグトニャは25、ユアンナは19で、チェレーゼ神官様は29だぜ」
「全然若いじゃん! 私27だよ!?」
「あ、そうなの? なんか俺らより若く見えてた」
『27も、まだ若いです……』
アジア人は若く見える的なやつなんだろうか。
「チェレーゼ神官様はいつまで経っても23歳ぐらいに見えるよなー、そういう魔法もあんのかな」
「ないだろ……姉さんは美容医療にご執心なだけだ」
「え、俺顔ファンなのに、なんかショック」
『ピグトニャ、やめてください』
私たちが雑談している間にも、ジッキョー・ダイスキー氏は大会を盛り上げようと声を張り上げている。
「期待の新星テス・バル! 彼女の父ポソ・バルも、かつてこの大会で名声を得たものです……今、あの熱狂がここに! 帰ってきています!」
「おおおおおお!」
実況の煽りで観客の興奮は最高潮に達し、私は毎試合毎試合これをやるのかと思うとクラクラしてきた。
「いくつのジムと戦うんだっけ……?」
「優勝するなら4つ。16個のジムが出てる」
「16、8、4、2……私は大将だから、4つ全部と最低1戦は戦わなきゃいけなくて……」
私がくらくらしながらぶつくさ言うと、ポップコーンありますか? と受付嬢に聞いていたチェレーゼと同じような顔で、ピグトニャは煽ってきた。
「まだ試合にも出てないのに、算数もできなくなったか?」
「ピグトニャ、君の煽りは、きょうだい共通の天啓かなんか……?」
『私は煽ったことなどありません』
「うそつき……それか無自覚サイコパス……」
まあ回数はさほど気にするな、とピグトニャは言い、テスの様子を気にしつつも、こちらへ向いた。強い自信が感じられる顔立ちで。
「おまえが戦うのは4回だけでいいよ。俺に勝てる奴はいない」
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