心配
「何を考えていたの!いきなり得体もしれない果物を口にするなんて……体に大事があったら、笑いごとじゃすまないのよ!」
「お、お姉ちゃん……リーノねぇは……うぅっ。貴方が気絶してうぅ……もう、頭がどうにかなっちゃいそうで」
「……」
「「聞いているの!?」」
適当な果実を手に取って食べた結果の昏倒。
避けようと思えば避けられる知らない果物を食べて意識を失うという愚行に対し、僕はお姉ちゃんたち二人からのお叱りを受けていた。
「聞いているよ?」
聞いてはいる。大丈夫だ。
でもさ、目の前に美味しそうな果物があればつい食べちゃうよね?未知への挑戦。それをせず何が人生だろうか?
「……くっ、その軽く首をかしげる仕草は駄目だわ。あまりにもかわいすぎる」
「ふぇぇぇぇ」
この世界、何かチョロいな。
男女比が狂っているせいですべての女性は男に優しい。
「……お外行くか」
でも、そのせいもあって女が男を守るという意思が強すぎるんだよね。
楽しく僕が外に出ようとするだけで、みんなが止めようとしてくる。困ったものだ。まぁ、それで大人しく引き下がる僕でもないのだが。
「ちょ、ちょと!?ちょっと待ちなさい!」
「まだ寝て起きてすぐなのよ!?そんなすぐに何処に行こうっていうの!?」
「暇だし……」
「暇って……!貴方はついさっきまで意識不明で眠っていたのよ!?」
「寝飽きたよ」
前世で死ぬほど寝た。
もう寝ていたくない。
「……その、たまに見せる何処か達観した雰囲気でずっといられないのかしら?すん、としているときとハイな時のテンションの落差に風邪ひきそうなのだけど?」
「引けばいいと思うよ」
前世分も一緒に合わせてテンションをあげているのだ。
ついついハイテンションになってしまうくらい広い心で許して欲しい。
「何処行こうかな」
「ま、待ちなさい!せめて私たちも連れていくこと!」
「……えぇ」
「流石にそこまでは譲ってあげられないわ!どうせ、今日も街を散歩して歩くんでしょう?それなら、私たちがいてもいいじゃない」
「違うことするかもしれないじゃん」
「貴方が街の散歩で目を輝かせなくなる日が来るとは思えないわ」
「日々、街の様子は変わるからね」
「自然とその答えが返ってくるのが貴方よねぇ」
「というわけで……」
「私たちも行くわよ」
「……まぁ、アスカねぇなら」
「私は!?」
「……いや、リーノねぇは」
リーノねぇは過保護の上にいちいち何かあるとパニックになって慌てだしていざという時、あまり頼りにならないのだ。
アスカねぇも過保護はなのは変わらないが、それでもリーノねぇと違って何かにつけてパニックになるようなことはない。それに、アスカねぇはチョロいのだ。
少し、僕がごねるだけで陥落する。色仕掛けに弱い。
実の姉に色仕掛けを仕掛けようとしている僕もどうかと思うが……それでも、アスカねぇは少しのお願いでどんな高いものも買ってくれるからな。なかなかやめられねぇぜ。
「私も連れて行ってよ!アスカお姉さま
「悪いわね。リーノ。デートしてくるわ」
「……デートとして見られるのは嫌かもな。やっぱりリーノねぇもいいよ」
「あれ!?」
「やったー!」
「それじゃあ、適当に街でもぶらついて行こうか……とか思ったけどさ。普通に僕たちが出かけるに足る理由なかったっけ?」
「ん?」
「お母様から隣街の商人へお使いを頼まれていたでしょう?アスカねぇはちゃんとそれをこなしたの?」
「……あっ」
「よし。行先は決まったみたいだね。隣街まで行こうか」
隣町まで行くならちゃんと準備しとかないとね。
お土産をたくさん買うための袋を準備だ!
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