この世界は全てダンジョンとなる ~願いが叶うコインに選ばれた君と共に、俺は現代ダンジョンで覚醒する~

黄緑のしゃもじ

序章「君の願いが叶うダンジョン」

第1話「願いを叶えるために」



「あれ? 倖輝こうきくん、あずさちゃんは?」


「ん、どうした結愛ゆあ? 梓ならあっちにいるんじゃないのか?」


 結愛と呼ばれた黒髪をハーフアップにした小柄な女性が、車から荷下ろしをしていた倖輝と呼ばれた男性に声をかける。


「えっ、全部倖輝くんに任せて行っちゃったの?」


「全部じゃないけど、1回持って行ったきり戻ってきてない」


「うそっ。えっと、手伝おうか?」


「いいよいいよ。これは梓に手伝わせるから」


「うーん。でも……じゃあ、これは持って行くね。他は……」


 倖輝が降ろしていた荷物の一つを結愛が持つ。他にもまだ持とうとするが倖輝が止める。


「それだけで大丈夫、ありがと。それよりあいつらが呼んでるぞ?」


 倖輝が親指で指す。すると、先にバーベキューを始めていた後輩が結愛の事を呼んでいるのが見えた。


「結愛さーん、お肉焼けましたよー」


「ありがとー。すぐ行くねー。みんな盛り上がってるなー。早く行かないと全部取られちゃいそうだよ。……やっぱりもっと荷物持って行こうか?」


「いいよ。ここは任せて結愛は先に行ってき。結愛がいかないとあいつらも楽しめないし」


「そう? じゃあ、甘えさせてもらうけど。倖輝くんの分のお肉、取っといてもらうね」


 そう言って結愛はバーベキューをしている後輩たちの元にかけていく。

 それを見ながら倖輝は車から最後の荷物を降ろした。


「それにしても暑いなー。こんな真夏の昼間っからバーベキューって、あいつら元気だなー」


 街から離れた山の中、周りには青々とした木々が生い茂り、清流が近くに流れている。いわゆる河原キャンプ場だ。


「何おじさんみたいな事言ってるのー? こうき君もまだまだ若いでしょ。はい、どっちがいい?」


 楽しそうに肉をお皿に乗せて貰っている結愛を遠目で見ていた倖輝の目の前に、冷えたビールとコーラの缶が現れる。


「梓か、サンキュ。コーラ貰うわ」


「あれ? ビール飲まないの?」


「今はな。なんか足りないって言って買い出し行かされる未来が見えてるし。結愛以外全員お酒飲んでるだろ?」


「まーね。流石このグループの最年長。気が利いてるねー」


「気が利いてるって、お前が考えてないだけだろ」


「そだねー」


 そう「あははっ」と笑いながら倖輝の肩を叩く梓と呼ばれた女性が左手に持っていたビールを開けて飲む。


「だから、こうき君もさっさと終わらせて来なよ。お肉なくなっちゃうよ?」


「お肉なくなっちゃうよ? って、荷物を運ばずにさっさとバーベキュー始めたのはお前らだろ。俺だって今すぐにでも行きたいわ! だから梓も……」


「はーい。呼ばれてるから行くねー」


「おい!」


「あははっ。荷物は頼んだ!」


 と駆け出していく梓。


「……ま、いいけどさ」


 そう言って梓が持ってきたコーラを開けて飲む。この暑さの中のコーラは格別に美味い。


「さてと」


 そして倖輝は残りの荷物を担ぐ。

 なんだかんだ言ってこれが最後の荷物だ。両手に荷物を持ちながら倖輝もバーベキューの場所まで歩いて行く。

 到着して荷物を置くと、結愛が肉が入った皿を持ってきた。


「倖輝くんお疲れ様。はい、お肉。冷めてるけど」


「ありがとう。ていうか、もうなくなったのか?」


「そりゃねー。本命のお肉達は別の車で来るからねー」


 バーベキューの網に肉が置いてないことを見て指摘すると、梓が倖輝に茶々を入れながら近づいて来た。


「肉が無いなら最初から待てばよかっただろ。あいつら遅れてるんだしさ」


「それは無理な話だよ! お肉はすぐにでも焼かないと! ねー」


「「ねー」」


「お前らも梓に乗るんじゃない」


 梓が周りにいる数人のメンバーにも同意を求める。すると、最近入った新人の青年が申し訳なさそうに言う。


「すみませんっ! 新人の僕がしないといけないのに、綾瀬あやせさんに任せてしまって」


「あー、それはいいんだよ。今日は君の歓迎会だし」


「そうだよ。今日は君が主役だからね! こういうのはこうき君にまかせておけばいいんだよ」


 笑いながら新人の肩を叩く梓を見て、「もう酔ってやがるなこいつ」と思う倖輝。


「そうだよ多田くん。全部綾瀬さんに任せておけばいいんだよ」


「そうだよー」


 と周りのメンバーも梓に賛同する様に言ってくる。このグループでの倖輝の立場はいつもこんな感じである。この場で最年長なのに「舐められすぎじゃないか?」とは思っても言わない。こういう場だけだと周りのメンバーもわかって倖輝をいじっている。


「ま、そう言う事だから。多田君は楽しんで。残りのメンバーももうそろそろ来るみたいだし」


「は、はい。ありがとうございます」


「よし! って事で、みんな飲むよー!」


 梓が音頭をとり、再度缶ビールを開ける。

 すると、隣に居た結愛が笑いながら倖輝に声をかけた。


「倖輝くん慕われてるねー」


「これを慕われてるって言っていいのかどうかだけどな」


 そう言いながら結愛が手に持っていたジュースを一口飲む。

 それを見て倖輝は結愛に確認した。


「それにしても結愛、なんで今回はこのキャンプ場にしたんだ?」


 皿に乗せられていた肉を食べながら倖輝は結愛を見る。


「うーん。候補地は色々あったんだけどね。梓ちゃんと地図見てたら、ここが一番危ない感じがしたんだよね」


「危ないって言うといつもの感じか?」


「そう。いつもの感じ」


「なるほどな。じゃあ、気を付けないとな」


「うん。もしかすると倖輝くんにも迷惑かけるかもだけど……」


 結愛はそう苦笑いをしながら倖輝を見る。

 すると倖輝は「ははっ」と笑いながら言った。


「それはいいよ。そのために俺がいるんだからさ。それよりも、今日は新人の歓迎会だから、気を張りすぎるなよ」


「うん。そだね。ありがとう」


 そう言って結愛はもう一口ジュースを飲む。


「まあ、私が気を張っちゃうから、梓ちゃんが盛り上げてくれて助かるんだけどね」


「そうだな。盛り上げ方が学生みたいなのは置いといてだけどな。でも、こういう時は気にしずはめ外した方がいいよ」


「だね」


 わいわいと騒いでいるメンバーを見ながら肉を口に入れると、倖輝の足元に軽い衝撃が走った。


「ん!?」


 下を見ると、ピンクのスカートをはいたツインテールの少女が痛そうに額を抑えている。丁度ポケットに入れていたスマホに頭をぶつけたようだ。


「だ、大丈夫っ!?」


 それを見た結愛がすぐにしゃがみ込み、少女を心配する。


「だ、だいじょうぶ」


 少し涙目になっている少女が結愛の顔を見る。


美香みかー! す、すみません。うちの子が」


「ままっ!」


 すると、その子の母親が駆け寄ってきて頭を下げた。それを見て結愛も否定する様にぶんぶんと手を振る。


「いえいえ、大丈夫ですよ。キャンプ場ですから。それに子供達は走り回って元気にしてないとですし! だからキミもいっぱい楽しんでね!」


「うん!」


 遠くで「みかちゃーん!」と少女の友達たちが呼んでいる。


「まま。みんな呼んでるから、いこっ!」


「そうね。ごめんなさいね」


「いえいえ」


 そう言って母親と少女はみんなの輪に戻って行った。


「いつでも子供は元気じゃなきゃね」


「だな」


 さっきの子供達が楽しそうに川に入って遊んでいるのを眺めていると、後ろから「おーい」と声が聞こえた。


「おっ。あいつら来たみたいだな」


「みんな来たみたいだよー」


「おっ! 新しいお肉とお酒が来たようだよ! よし! じゃあーみんな! まだまだ盛り上がるよー!」


「「おー」」


 そして、残りのメンバーが合流して本格的にバーベキューが開始された。







 日も暮れ始め、夕焼けの空にカラスの鳴き声が聞こえる頃。


「さて、縁もたけなわですが、もうそろそろお開きの時間になりました」


「「えー」」


「今日は多田君の歓迎会なので、多田君から一言いいですか? これからの抱負とか何か一言を」


 司会の女性が新人の青年を前に呼び出す。


「あ、はい。えっと、まだ僕はこのボランティア団体に入ったばかりなので右も左もわかりませんが、精一杯動きますので。宜しくお願いします!」


 無難な言葉だがみんなが拍手をする。

 そして司会の女性が次に結愛を指名した。


「では、高原たかはら代表。最後に一言を」


「はい」


 まだ23歳にしてこのボランティア団体の代表を務める『高原結愛たかはらゆあ』。セミロングの黒髪をハーフアップにした少し小柄な女性だが、そのオーラは代表と呼ばれるだけあって、凛としていた。

 そしてみんなの前に立つ。


「では、いつも通りですが……」


 と言った瞬間に言葉を止めた。何か聞こえたのかじっと聞き耳を立てている様に遠くを見ている。


「代表?」


「ちょっと待って」


 メンバーがどうしたのかと声をかけるが、結愛は右手を前に出してそれを制する。


「みかー! みかー!」


 聞こえてきたのは誰かを呼ぶ声だ。

 その声の元を見ると昼間倖輝にぶつかった少女の母親だった。その母親が必死に子供の名前を叫んでいる。


「……」


 その様子を結愛がじっと見る。

 すると、


「梓ちゃん。ちょっとここまかせる」


「了解」


 その一言だけ残して結愛はその母親の所に向かって行った。

 その様子を見て新人の青年が隣に居た女性に質問をする。


「ど、どうしたんですか?」


「あー、代表のいつもの行動だね。今から少し忙しくなるよ。これも慣れないとね」


「は、はあ……?」


 困惑する新人を横目に倖輝も結愛に続き母親の元に向かって行った。

 倖輝が着いた時にはすでに結愛が母親に声をかけていた。


「すみません。どうされましたか?」


「えっ、あっ。美香が……娘が、いなくなって……ほんの少し、目を離した隙に……」


「娘さんがですか。私も探します。ツインテールの女の子ですよね」


「ほ、本当ですか!? ありがとうございますっ!」


「倖輝くん。聞いてた?」


「聞いてた。動くぞ」


「うん。ありがとう」


 結愛と倖輝が梓達メンバーの所に戻る。

 その場には梓が仕切っていたのか、ボランティア団体のメンバー20人程が待機していた。


「ゆあちゃん、指示を」


「ありがとう。みんな手伝ってください。探すのはピンクのスカートとピンクの靴を履いてるツインテールの女の子。小学2年生で身長は130センチぐらい。2人ペアで捜索。新人の子は……紗月ちゃん指示して貰っていい?」


「わかりました」


「梓ちゃん、いつも通り全体の指揮をお願い」


「了解」


「じゃあ、一刻を争うから。開始!」


「「はい!」」


 結愛の言葉で全員が2組に分かれて捜索し始める。

 さっきまでお酒が入り騒いでいたメンバーとは全く違う人物達に見えるぐらい行動が迅速だ。

 梓に至っては人が変わった様にしっかりした口調でその場を指揮する。


「お酒飲んでるから危ない所は行かないように! 可能性がある場所を見つけたらゆあちゃんかこうき君に連絡を。率先して見てもらうようにするから。メンバー同士連絡取り合っていくよ。あたしは親御さんと管理人と連携して、警察に連絡するから。少しでも、何でもいいから気づいた事があったらすぐに報告! わかった?」


「「はい!」」


 小規模だが訓練された様に連携が取れている動きを見せるメンバー達。新人はそれを初めて見るようで少し戸惑っているが、周りに合わせてすぐに行動を開始する。

 これが結愛が率いるボランティア団体である。






 しかし、捜索時間は刻々と過ぎていった。


 捜索開始から1時間。地元の警察も加わり捜索が進むが一向に見つからない。

 日が暮れ始め、足元も暗くてライトが無ければ捜索できない状況だ。この状態では捜索も難しくなる。もう半時間もすれば小学2年生の少女では生存が絶望的になるだろう。


「美香……どこに……」


 母親がその場で崩れ落ちる。


「お母さん。今我々警察、消防、自治体で全力で捜索しております。山岳救助隊も来ています。必ず見つけ出します。一緒に頑張りましょう」


 警察が母親を励ましながら捜索はまだ続く。

 それを見て結愛達が相談する。


「どうする、ゆあちゃん。みんな事情徴収も終わったし、警察には帰っていいって言われてるけど。勝手に捜索に加われないし」


「うん。でも1時間探して見つかってないって事は、近くにいないって事だから……」


「森の奥まで行ってる可能性がある。結愛これが言ってた……」


「……たぶん、考えたくないけど」


 そう言った結愛が手をきつく握る。


「美香ちゃんが森の奥まで行ってたら、帰れなくなってる可能性が高い。たぶん美香ちゃんが迷ってから2時間は経ってるって考えると……かなり危ない」


 山には野生動物がいる。今まででも山で遭難した子供が行方不明になったり、動物に襲われた事例もある。この山も例外ではない。


 すると、メンバーの一人が結愛の元に青い顔をしてやってきた。


「だ、代表……」


「どうしたの?」


「さ、さっき、川岸に……ピンク色の子供の靴が、落ちてたって……」


「……っ!!」


 その言葉に結愛の心臓が跳ねる。その瞬間決心した。


「行く」


 その言葉に倖輝が結愛の顔を見る。すると結愛も倖輝の顔を見て言った。


「倖輝くん、ついて来てもらっていい?」


 結愛の言葉に倖輝は微笑む。


「もちろん。遠慮するな。あの日から結愛を手伝うって決めてるからな」


「ありがとう。じゃあ、すぐに向かう。梓ちゃん!」


 呼ばれた梓がニコっと笑う。


「二人とも行くんだね」


「うん。ここ任せるね。帰れる人は先に帰ってもらっていいけど。残った子達は申し訳ないけど30分ほど待ってもらっていい?」


「うん。大丈夫だよ。伝えとく。頑張ってきて」


「ありがとう。倖輝くん、行こう!」


「ああ」


 そして、結愛は倖輝と共に走り出した。


「……あれ?」


 それを見ていた新人が紗月に話しかける。


「紗月さん。高原代表と綾瀬さんって、どこに行ったんですか?」


「あー、新人だから知らないか。私も詳しい事は知らないけど、たぶんどこかに祈りに行ったんだと思うよ」


「え? 祈りに……ですか?」


「うん。たぶんだけどね。神社がどこかなんじゃないかな?」


 その言葉に新人は胡散臭そうな顔をした。しかしそれを見て紗月がクスッと笑う。


「ふふっ。その反応はわかるよ。「このタイミングで神頼みなの?」ってね。でも、いつもこういう事が起こった時は必ず代表達はどこかに行くの。それで必ず解決するんだよ」


「えっ? 必ず解決……ですか?」


「うん。必ず。今までで一度も解決しなかった事を、私は見てない。だから今回も心配ないと思う。あの二人が行ったんだったら、美香ちゃんは確実に見つかるよ」


 そう聞いた新人は走っていく二人の後姿を眺めていた。







 倖輝と結愛はキャンプ場をすぐに出て、山の麓まで車を走らせる。


「結愛、今回使う『コイン』はどれだと考えてる?」


 倖輝が車を運転しながら、助手席に座っている結愛に質問をする。

 すると結愛が真剣な目で前を向いて答えた。


「……たぶん『銀』じゃないとダメ。それも『ある程度の大きい場所』じゃないと難しいと思う」


 そしてポケットから取り出した『銀色に光るコイン』を目の前に掲げる。そのコインは通常の硬貨とは、全く違うオーラを放っていた。


 それを聞いて倖輝が頷く。


「だろうな。考えは同じだな。実際、美香ちゃんを助けるにはどれぐらいの規模になるかはわからないからな。最低の大きさは確保して、最大も選べるとしたら……近くだと、山を降りたすぐの『ショッピングセンター』か? もっと街に戻って『ショッピングモール』に行くか?」


「……いや、時間が無いから近くの『ショッピングセンター』にしよう。たぶん大きさは足りてると思うけど……ちょっと調べる」


「おう」


 スマホを取り出し、結愛が地図アプリを開ける。


「……あっ、待って。近くに『小学校』がある。そこにしよう」


「小学校か。普通の小学校なら十分な大きさか。わかった。案内頼む!」


「うん」



 キャンプ場から下り、少し道を外れると見えてくるのは小学校。

 入り口付近に車を止め、二人は正門に向かって走って行く。


 休日の今の時間、付近には小学生らしき子供達はいない。校舎には明かりが灯っておらず誰もいない雰囲気だ。


「じゃあ、始めるよ」


 その小学校の正門の前で立ち止まった二人。

 そして結愛がポケットから何かを取り出した。


「さっきも言った通り、『銀のコイン』を使うね」


 取り出したのは『銀色に光るコイン』だ。車の中で見た通り、そのコインは通常の硬貨とは明らかに雰囲気が違い、神秘的なオーラを放っていた。


「この大きさでもし限界まであったら、かなり気を付けないといけないと思うけど……」


「大丈夫、いつもの事だろ。結愛ならいける。それに俺もついてる。だから、一緒に乗り切るぞ」


「うん。……じゃあ、頼むね」


「任せとけ」


 そして、結愛が賽銭を投げる様に『銀のコイン』を正門に向かって放り投げた。

 そのコインは弧を描き、正門の何も無い空間に吸い込まれる様に凛と高い音を立てて消えた。


 その瞬間、コインが水に落ちた様に白色の波がその個所から波紋のように広がる。それは指定した『小学校』の『入り口』を示すかの様に真白く幻想的に光っていた。

 目の前に現れる人二人が入れるほどの『入り口』の様な幻想的な白い空間。

 それと同時にこの世界の感覚が希薄になる。その空間には今指定した『小学校』だけがあるかの様に錯覚させる。


 それを見届けた結愛が胸の前で手を合わせた。その動作は神様に祈るようだ。

 それに合わせて倖輝も手を合わせる。


「……美香ちゃんが無事に戻って来れますように」


 そう口に出した結愛は顔を上げた。

 そして、結んでいたハーフアップを一度解き、次はきっちりとポニーテールに結びなおす。最後にどこかから取り出した、赤と白色の小さい花が付いたかんざしを挿し込む。それは赤と白のアネモネの花の簪。


 これは結愛にとっていつもの験担ぎの行動。


「じゃあ、行こう。『ダンジョン』に」


「ああ」


 そして、二人がその白い『入り口』に足を進める。


 一歩二歩と進んだ二人は吸い込まれる様に白い光の中に消えていく。




――そして倖輝と結愛は再び『ダンジョン』に足を踏み入れた。





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