第二話 街の見回りと頭痛の原因
翌朝――
異世界転生から2日目――寝れなかった。
あの頭痛が寝ている間に二度来て、こっち来いとうるさいのだ。
流石に最初程の痛みではないが、それでも耐え難い。
こっちに来いって――どう言う事なんだ?
全く、こっちに来いと言っておきながら、その場所も示さないなんてとんだ悪趣味だ。
取り敢えず場所が分かったら行くとして、この街を見回ろうと思う。
やっぱ、異世界転生のお⭐︎や⭐︎く⭐︎そ⭐︎く⭐︎の鉄の鎧や剣、それに魔法だって……? あるんだろう!
ワクワクが止まらない!
それと、昨日宿で部屋を取り、部屋に行くと驚くべき事があった。
鏡を見ると、顔が変形しているのだ。
誤解をされる前に断っておくが、変な形になっていると言うわけではなく、美形な顔になっているのだ。
特徴は、髪はストレートで漆黒、切れ目で目が青色になっているのだ。
まぁ正直とてつもなく嬉しい。
多分だが、この異世界に来る上で日本人顔で転生する事は、異世界の特色を壊しかねないので俺の顔は弾かれ、代わりにこの顔になったのだろう。
体は前の世界から変わってはいない。変わってたら最初の時点で分かってたしな。
――俺は大きく呼吸し、固まっている筋肉を腕を伸ばし、ほぐす。
よし、出かけるか!
****
相変わらずここは賑やかな街だ。
それに色んな種族が居るのは、異世界にいる!って感じで没入感が増す。
情勢が危ういと言うのに気楽な奴らだ。
俺は商店街らしきところに行くと、俺の目の前には羅列されている屋台が映った。
進んでいくと、まぁこれが凄い。
予想通り鉄の鎧や剣なのが売ってるのは勿論、見た事ないポーション……? や食い物、それに杖なのがある。
まだまだ見た事が無いものが沢山あったが、言ってたらキリがないので割愛させてもらおう。
俺は朝ごはんを食っていなかったので、適当に屋台を営んでいるおっちゃんに話かけてみた。
「あの、このグルグル巻きになっている焼かれた肉は何だ?」
おっちゃんは不思議な顔をするも俺の質問に答えてくれた。
「あー? これか? これはな、恐魔の森で取れた蛇よ」
へ……へび――?
それに恐魔の森で取れた!って言ったよな?
その森の事はよく知らないが、名前から考えるに毒でもあるんじゃねぇのか?
「これって毒とかあるのか?」
「生きている時はあったが、殺して、毒は魔法で中和したから食えるぞ」
やっぱり、こいつは毒持ってたのか。
「ちなみにここだけの話、ビーアと一緒に食べると、超絶合う」
「ビーアって?」
「ったくあんた何もしらねぇんだな。これだよ、これ。」
そう言うと屋台に並べられた樽にいれられた飲み物? を見せてくれた。
シュワシュワ言っている。多分酒の事か?
となると酒好きの俺には大歓迎な品物だ。
「よし、決めた。おっちゃん、ヘビとビーアを貰おう」
「よっしゃ、兄ちゃん銅貨1枚だ」
俺は銅貨一枚を出すと、蛇とビーアを貰った。
蛇には前世でも食った事がなかったので抵抗があったが、食ってみるとこれが美味い。
少し筋肉質で硬いが、鶏肉と同じような味だ。
次にビーアを飲むと、おっちゃんの言ってる事が分かった。
これは合う!
俺は次々と食べていき、いつのまにか無くなっていた。
少し喪失感があった。
――この後も屋台を見て回ったが、それで分かった事がある。
食べ物が異常に安く、それ以外は中々に高いのだ。
多分この国は食べ物など自給自足なので賄えるのは安いが、金属などや布など特定の場所や環境でしか入手できない物は他国とかの輸入に頼るしかない。
しかし、この国の情勢から見るに輸入が困難、もしくは他国が離れていき輸入コストが上がってるのだろ。
この国は中々良い国だが、離れるしかない。
馬車の予約は満員で取れそうもないから、俺が強くなって1人ででも脱出するしかない。
俺はこの国から逃げる事を決意した
ならば明日ギルドに行こう。
異世界の醍醐味の一つ魔法って奴も見てみたいし、金稼ぎにもなるだろ。
それに、この国から一人で逃げれる強さになれる。一石二鳥ならぬ一石三鳥(?)だ。
****
俺は屋台をざっと見て帰ろうかと考えてると、空から地へと長い柱みたいな光を見た。
漫画の世界でよくある「神様がこの光から降りてきますよー!」的な光ではなく、何か禍々しさを漂わせている黒い光。
しかし、辺りは暗くなっているが存在感はしっかりあるのだ。
何でだ?
何でみんなはあの光に興味を惹かない?
この辺りでは当たり前なのか?
それとも俺にしか見えていないのか……?
後者だとすれば、心あたりはあの定期的に来る頭痛だろう。
あんなのが毎日毎日来るとか、流石に精神が参ってしまい異世界生活しているところではなくなる。
俺はあの光に向かう事を決意した。
かと言ってもそこまで遠いところでは無い。
街の外れの森ら辺にあるように見える。
俺は警備をしている騎士の目を掻い潜り、森へ向かった。
人間が統治する範囲から外れたところに居るが、案外魔物がいないものだ。
人里から結構離れなければいない物なのか……?
安堵しつつも少し悲しさが混ざり、複雑な気持ちになった。
森に入ってみると、月明かりが木に阻まれ、暗く重圧を感じるような雰囲気に俺は少しビビるが、頭痛に比べればマシだろ。
恐怖という感情を押し殺しつつ進んでいき、光があるところまでいくと光が徐々に薄くなっていく。
そばまで行くと開けた場所がり、字が刻まれれている石板があった。
俺が石板に向かうと光は完全に消えた。
俺は石板を見るため腰を下ろし、書かれた字を見た。
えーと、何々……
「厄災ガルリロス 勇者の名の下にここに封ずる」
って、え? どゆことだ?
厄災ガルリロス?
厄災っていう事はやべぇ奴なんじゃないのか?
俺は石板に触れると、光が石板から漏れ出した。
そして辺りをその光が覆っていく。
さっきと同じ光……漆黒で禍々しい。
徐々に光が収まっていき、俺は少し安心してると、後ろからとんでもない威圧感を感じた。
やばい――後になんか居る。
これ、後振り向いて良いのか?
でも、怖くて振り向けない……!
「あなた、もしかすると我を怯えてるのか? まぁ仕方あるまい。我を見る事を許可しよう」
聞いた事がある声が聞こえた。
間違いない、この声、俺の頭痛の悩みの原因だ。
俺は申し訳なさそうな顔をし、後ろを振り向くと、そこには漆黒のオーラを出す悪魔がいた。
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