第25話 連携スキル、その名も!
「見事な戦術だった」
ルーゼンは静かに呟いた。スタンからの復帰後、即座に距離を取った彼らは、静かに闘気を練り直しながら、改めて《クローバー》の面々を見据える。その眼光は鋭く、もはや先ほどの焦燥の色はない。強者としての威厳を取り戻している。
「あ、ありがとうございます!」
フィリアが慌てて頭を下げる。
「まあね! 私たちの作戦、天才的だったでしょ!」
アリスが胸を張る。
「ゴルグとザムザはやられたが、勝つのは俺たちだ。いくぞ、マイン。アリスとフィリア、後衛を潰せ! 」
ルーゼンの指示は冷静沈着だ。モンクの基本戦術。回復役を先に潰す。
(さすがトッププレーヤー、立て直しが早い。でもまだこっちが有利。思い通りにはさせない!)
「ルーナ、アリスとフィリアを守って! 私はルーゼンとタイマンする!」
メイの指示も飛ぶ。即座に作戦を切り替える《クローバー》。
「おっしゃあ! 任せとけ!」
ルーナが叫び、「シールドアックス」を構えてアリスとフィリアの前に立つ。
「へっ、タイマンか。いい度胸じゃねぇか、盾モンク」
ルーゼンがニヤリと笑う。その笑みは、相手を認めつつも、自分たちが上であると確信している強者の余裕を感じさせる。
フィールドは二つの戦場に分かれた。メイ対ルーゼンのトップモンク対決、ルーナが守る後衛陣をマインが狙う構図。どの戦場も一瞬の油断が命取りになる、張り詰めた空気が漂っていた。
「油断しなけりゃ、あんたらの攻撃なんてどうということはないんだよ!」
マインが叫ぶ。ルーナが小盾を構えたアリスとフィリアの前に立ち、シールドアックスを構えている。
「『貫通撃』!」
マインがルーナの防御を無視して本体にダメージを与える。
「くそっ、速い!『 破壊の剛断』」
「『 ロックブラスト』」
マインのスピードは圧倒的で、ルーナやアリスの攻撃は当たらない。さすがは上位ギルドメンバー。マインは3人に着実にダメージを与えていく。
だが、3人もただやられているわけではない。盾による防御でダメージを軽減させつつ、称号効果で爆上がりした耐久力でなんとか耐えながら反撃していた。
(まずい、ルーナたちはジリ貧!)
メイはクールな表情を崩さず、感覚強化でフィールド全体の状況を読み続ける。ルーゼンの猛攻をプレイヤースキルで避け続ける。その最中、彼女はとっておきの作戦の実行を指示する。
「アリス、ルーナ、フィリア、例の作戦発動!」
「あれをやるのね!」アリスの目が輝く。
「おっけい!」ルーナが力強く応える。
「はわわ……がんばります!」フィリアも気合を入れる。
三人はアイコンタクトを交わし、ルーナが「シールドアックス」を構えたまま、マインへと駆け寄っていく。
「『グラビティ・マイアー』!」
アリスが杖を振るうと、マインの足元に重力のぬかるみが発生する。
「遅い!何度やっても同じだよ!」
マインはバックジャンプで重力魔法を回避する。紙一重で拘束を免れた彼女は、勝ち誇ったようにニヤリと笑う。だが、その笑みはすぐに凍りつく。
「それは……油断です!『ライトシールド』 !」フィリアが叫び、光の盾をマインの背後、空中へと設置する。光の壁がマインの逃げ道を塞いだ。
「なっ、ヤバっ!?」
「逃がさない!くらいなさい!」
アリスがサイキック魔法で操った浮遊盾で、マインを光の壁へと押し込む。
空中で身動きが取れなくなったマインは、まるで壁に挟まれたサンドバッグ状態だ。
「はっはっはっー、私のターン!」
ルーナが叫びながら、戦斧を構えて高く飛び上がる。振り下ろしざまに「破壊の剛断」を叩き込んだ。
[会心の一撃!]
紙耐久のモンクにとって、この連携攻撃は致命傷だった。
「くっそーっ!」
マインのHPバーは一気にゼロになり、光の粒子となって消滅する。
「『サイキック剛断』! なんちって」
ルーナが決め台詞を呟き、着地した。
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