001 ここはどこなのだろう?
良く分からないまどろみの中、急に頭を強烈に締め付けられ、痛みで意識が覚醒した。
どれくらい時間が経ったのか分からないが、解放された時は寒かった。声も出ず、何も見えず、聞こえる音も理解できない。
死んで、頭を締め付けられ、寒さの中で何かに包まれていた。
自分では何もできず、されるがままだった。
すぐ眠くなるが、起きている間に分かった事がある。聞こえる言語は、俺の知っている響きではない。地球でもかなりマイナーな国か、それとも異世界か。
目が見えず何とも言えないが、発展途上国ならここまで世話はされないし、自分の部屋や専属のベビーシッターまでいないだろう。となれば、小説みたいに異世界転生の可能性が高い。ただ神様には会ってないので、チートは多分無い。
大人の感覚なら寝て起きれば1日だが、身体が赤ん坊だと日数は分からない。食事回数でも判断できない。
たまにベッドの近くに動物がいる。感覚は鈍いが、毛の生えた犬や猫のようだ。前世では飼えず、猫カフェで癒されていた事を思い出した。
どれほど経ったか分からないが、抱っこしてくれる人たちが語りかけてくれているのは分かってきた。目もぼんやり見え、色だけ認識できる。抱いている相手は声で判断し、髪の長さで何となく性別が分かる程度だ。
暇なのは当然だが、意識がはっきりしていると時間を潰したくなる。体を動かす・声を出す・考えるくらいしかできない。
短い手足をバタつかせ、状況を整理する。
転生した。
多分地球じゃない。
それなりに裕福な家。
他には……父親らしき男が1人。低い声で体が大きい。他に3人の男がいて、専属のベビーシッターと比べ大小があるので、多分兄弟。そのほか子ども2人。ベビーシッターより小さい。
父親は3~4回しか会っていないし、兄弟らしき連中も1回きり。
女性は多すぎて母親が分からない。
唯一区別できるのはベビーシッターだ。
母乳をくれる女性は別にいて、しかも3人以上いる。乳母が複数いるほど裕福らしい。この中に母親がいるかもしれないが、分からない。言葉が理解できれば何とかなるか。
俺が良く動くようになってから、猫……モフモフが寄り添ってくれる事が増えた。ニャーと鳴き、体が柔らかく、俺より大きい。どうやってか分からないが、全身を包んでくれる。モフモフに包まれるのは幸せだ。
今世は、幸せになれるだろうか?
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