第23話 創造失敗! 『キレイなお花の冠』!!
バルルンは普通に黒い翼をパタパタやって村を飛んでいたが、特に騒ぎにはならず。
よく考えたらかなりモンスター寄りの外見をしているゴリマッチョが村人たちに受け入れられているのだ。
その事を踏まえると、バルルンはちょっと日焼けして角と翼が生えているだけの可愛い女の子。
問題になるはずもなかった。
ニナを先頭にしてライカにくっ付いているバルルンが村の外へ。
街道の脇にある茂みを見つけると「ここで問題ありませんね」とニナが言った。
「みんなー。スカートの裾、気を付けるっすよー。サトル師匠がちょー見てくるっすからねー」
サトルはお花の冠作りの戦力にはなれなさそうなので、3人を見守る係。
別にスカートが捲れるのを待っている訳ではないが、捲れる分には迷惑という訳でもない。
「大丈夫。ライカちゃんが一番スカート丈短いから。思ったんだけどさ、そのスカート鉱石の糸で編んであるんだよね? だからだよ。布が硬いから捲れる時はぶわーっていくの! 最高にステキな装備だね!!」
「ニナぁー! あたし装備変えたいっす!! ショートパンツにするっすぅー!!」
どんなに小さなラッキーも見逃さない。
そんなサトルを師匠にしたのだから、ライカも安心してドンと構えていて欲しい。
仮にショートパンツにしても、サトルは新しいラッキーを見つけるだろう。
「この白いお花を使います」
「あ! それ俺の故郷にも生えてるよ! 似たようなヤツ! シロツメクサだっけ?」
「んー。よく考えたらこのお花の名前は知りませんでした。では、サトル様の故郷に合わせてシロツメクサとお呼びしますね。バルルンちゃん、このシロツメクサを30個くらい摘んでください。根元からではなく、茎が硬くなっているところから」
「分かった! そのくらいならあたいでもできるし!! サトル! 見てて! 見てて欲しいんですけど!!」
バルルンに「見ろ」と言われたからには凝視せざるを得ない。
まったく見守り係とは大変な役である。
「俺も花を集めるくらいは手伝うか」
「師匠、師匠。こっちにいっぱいあるっすよ」
サトルとライカの師弟コンビが手早くシロツメクサを集めた。
この量ならば2つと言わずに4つでも5つでも作れそうである。
ニナのよく分かるお花の冠の作り方講座が始まった。
「まずはお花を2本持ちます」
「持った!!」
「これをこうやって交差させます」
「こう?」
「いいですよ。そんな感じです。上の茎を下の茎に巻き付けて、巻き付けた方の茎を1番上に持って来ます」
「ふぐぐぐ……。難しい……。こう?」
「ゆっくりで大丈夫ですよ。そうです、そう。いい感じですね!」
「あたい分かっちゃった! コツ掴めたかも!! これを繰り返す感じ?」
「そうです! お好みの長さになるまで新しいシロツメクサを足して、編み込んでいってください!」
「ニナ、教え方が上手いんですけど! 人間にしとくのもったいないよ!!」
一方のサトルとライカ。
「ぎゃー! バラバラになったっすー!?」
「ライカちゃん。多分だけど最初の1編みが甘かったんだと思うよ?」
「……早く教えて欲しかったっす」
「俺もやってみようかな!!」
「師匠には絶対に無理だと思うっす!」
「はっはっは! 俺にはスキルがある!! こんなもの、想像力を働かせるまでもない! ニナの作ってるお手本を見ながらスキル発動させればいいんだから!!」
「わー。ズルいっすねー。清々しいくらいにズルいっす。しかも師匠、あたしと一緒にほどほどに硬い盾を『創造』した時、確かお店の盾を見ながらだったっすよね?」
「俺の成長をよく見ておくんだ! 行くぞ! なんかキレイな感じで、編み込んである部分はやっぱり粘り気か何かないとバラバラになるんだろうね。よしよし、イメージは固まった!!」
サトルが輝く右手を突き出した。
「出て来い!! キレイなお花の冠!! 『創造』!!」
見た目は綺麗なシロツメクサの冠が現れて、一瞬だがライカが「おおー!! すごいっすー!!」と歓声をあげたが「やっぱ今のなしっす」とすぐに黙った。
お花の冠が地面に落ちる瞬間、ニチャアッと嫌な音がしたからである。
「…………よし! ライカちゃん! 頭に被ってみてくれる?」
「嫌に決まってるじゃないすか。なんでそんなにズルズルなんすか。ニナの作ってるところ見てたんすよね? どこにズルズルになる要素あったんすか?」
「意外と付け心地いいかもしれないから!!」
「ぎゃー!! もうズルズルした液体が滴り落ちてるんすよぉ!! こっち来んなっすー!!」
サトルがライカと遊んでいる間に、ニナは冠を完成させていた。
その出来栄えは惚れ惚れする逸品。
武器屋で売っていたら思わず買ってしまうに違いなかった。
「ふぐぐぐ……。うぐぐぐ……。最後が難しい……。端っこと端っこを繋げる感じでしょ? あっ! ダメダメ! バラバラになっちゃいそう!!」
「ゆっくりですよ。ゆーっくり。優しく、慌てないで。……サトルさーん? ちょっと静かにしてもらえますかー?」
ニナは滅多なことでは怒らない。
つまり、諫められる時点で割と怒っている。
サトルはズルズルのお花の冠を無言で頭に乗せてみた。
ひどくネバネバしていて、これは自分の作りたかった冠ではないなと気付いたという。
「で、できたー!! どう!? ニナ!! これ良い感じ!?」
「はい! ちゃんと輪になっていますし、大丈夫ですよ! バルルンちゃん、筋がいいですね! あっちの2人と比べるのは失礼なくらい!」
体育座りをしてしょんぼりと俯いているサトルとライカ。
師弟コンビだから似るのか。似ているから師弟になったのか。
気を良くしたバルルンはその調子を維持して2つ目のお花の冠も完成させるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃。
とある山脈にあるお花満開な魔王城では。
「フフフッ。ギリアンよ。準備は整った。違いないな?」
「はっ。時にファロス様」
「フフフッ。申してみよ。ちなみにバルズバランはタキシードに着替えるため席を外しておる」
「はっ。存じております。それよりも、他の四天王。暴風のウィーザックと甚土のドスンガは呼ばずとも良いのでございましょうか?」
「フフフッ。良い」
「はっ」
「フフフッ。あやつらは帝都を襲ってくると言っておった。血に塗れた姿で結婚式に出てもらいたくはない。そうではないか? ギリアンよ。余はドレスコードも知らぬ者どもの席など用意はせぬ。お花いっぱいの式に血の色は似合わぬのだ」
「はっ。ははぁー!! 仰せの通りにございます!!」
頭を強打することなく平和路線に舵を切れた四天王最弱にして最も優しい男。
その名は氷鬼のギリアン。
バルズバランが戻って来た。
タキシードが燃えないよう魔力を遮断するのに苦心している様子で、いささか落ち着きがない。
「フフフッ。良い。バルズバラン。そのタキシードは余の魔力で産み出したもの。喩え卿の炎に焼かれようとも大事なところはポロりせぬ仕様になっておる」
「ははぁー!! 何から何までファロス様のお手を煩わせ……! この炎魔のバルズバラン! 感激の至りにございます!!」
「フフフッ。良いと言うのに。卿も折れぬ男よ。それよりも、卿の娘。バルルンと連絡を取るが良い。そろそろお花の冠が仕上がった頃合いではないか?」
「はっ。では早速、通信魔法で呼び出しましょう」
ついに来る。
宿敵同士が再び見える時。
どうなる。
サトルとバルズバラン。
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