第4話 トロピカルな香水:南国香水

 

 パイナップル、マンゴーに、ブルベリー、キウイ


 ・・・主な成分。



 香水『南国』の香りをかがせてもらって、


 たしかにトロピカルだと思った。


 今回のミッションは先輩ダイヤと一緒に、


 『南国』用の香料調達。



 担当になったパイナップル畑を見て感動した。



「木になってるんだと思ってた」


「ほ~」



 パイナップル狩りは楽しく、あっという間に昼休み。


 解放的な食事処の窓からは、信じられないほど綺麗な色の海が見えた。


 他の香料調達師たちと一緒に食事。


「海に香料を取りに行ったりしないの?」


「なんだって?海に香料なんてないだろ」


「シュアザローナは海にもはえてるって聞いたことあるけど」


「あの伝説の花?」


「そう」


「あれは絶滅したやつだ。今はない」


「え?」



 僕の里では、今でもシュアザローナが自生している。


 僕はシュアザローナを献上したから香料調達師になれた。


 もし里の希少なあの花の存在が知れたら、


 なくなってしまうのではと不安がよぎる。



 なんだか話にくくて、別の話題にそらした。



「海ってクラーケンとかいるのかな?」


 周りから笑いがもれた。



 ダイヤが言った。


「俺、クラーケンはいると思うぞ」

 

「本当に?」


「昔はいたと思う」


「今は?」


「分からなんなぁ」


「ふぅん・・・」


「夢見がちな年頃なんだな。嫌いじゃないぞ」


「僕はもう17歳だ」


「俺はクラーケン見てみたいぞ」



 不思議な先輩と組んだなぁ、と思った。



「ダイヤって風変り」


 ダイヤが笑って、それから自然と話題はそれた。

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