転生して闇の魔王になったけど、これ趣味でやってた闇VTuberのアバターじゃん
@0yen
1 闇のVTuber時代
俺には闇がある。夢はない。
闇とは誰にでもあるような
心の闇が発生する原因はなんとなく理解してる。解決出来ない悩みや問題を抱えるからだと思う。
解決出来ない問題は、言い換えると人生の未解決事件だ。
だから俺はこういう名前にした。
「ハッピーダークデイ!お前等の黒幕、
趣味でやってるVTuberの挨拶をカメラに向かって言った。
3DCGで自作した真っ黒な闇人間のアバターがパソコンモニターの窓で俺と同じ動きをする。
俺がVTuberとして演じているのは闇の支配者だ。チャンネル登録者は眷属、そういう設定。
「今日は配信するぞ~」
今日もまた職場でのパワハラという理不尽を解決出来ず心の闇が疼いていた。
そういう時はライブ配信で発散するに限る。
「今回の企画は…世界征服チャレンジの作戦会議ィッ!」
本気で世界を征服するにはどうしたら良いか考えて実行する、我ながらアホな企画。
AIを使ったコンピュータウィルスの制作だとか、人の洗脳放送みたいなギリギリ犯罪にならない
一応人気企画だけあって数字も良いし一定の需要がある。
結果なんか俺も視聴者も期待していなくて、制作過程でふざけた妄想なんかを叫んだり、結果後の言い訳と逆ギレなんかが何故か大ウケする。
半分ネタだが半分ガチ。
心の闇が
俺もやってて楽しい企画の一つだ。
「お前等何か考えてきたかぁ~?」
何時もは自分で考えているけど、
この企画シリーズの前回動画で告知していたので視聴者が考える時間は十分あったから、どんな案が出て来るか楽しみだ。
俺はチャットを眼で追い、流れて来るコメントを拾って読む。
「エックスハムちゃんさん、こんばんわ!…いや、殺すのはまだ早いって言ってるだろっ」
早速過激なコメントだった。
動画にならないから人殺しはダメだと毎度言ってるのだが、このチャンネルの視聴者は極論好きが多い。
「50年後に
みんな冗談半分で好き勝手コメントしてくる。これがまた面白くて俺はいつも笑いながらツッコんでいる。
「おっ!中二ドクターさんスパチャありがとう!…脳を破壊する曲かぁ~良いねぇ、候補としてメモ…ん?」
配信中に突然、自宅のワンルーム全体が揺れているのを感じ取った。
「今揺れたよな、まあいっか、…いやいや流石に俺が揺らしてないよ?」
地震列島の日本ではよくあること。
騒ぐほどじゃない。
俺は気にせず引き続きチャットを読む。
「俺が歌上手いかって、まあ下手だけどそれが逆に脳へのダメージにナ゛ッ……」
強い揺れと共に作業用デスクが飛び、俺は椅子から投げ出されそうになった。
そして次の瞬間、俺に天井が迫り意識が途切れたのだった。
──…。
意識が戻ると五感の全てに異常が起きていた。
視界が真っ暗だし、自分に視覚があるのかさえも分からない。
そもそも眼球が無さそうだ。
顔も手足も、人体の感覚が全て無かった。
代わりに気体の様なモヤっとした体積を感じた。
自分の意識で流動させる事が出来る。
これが今の俺らしい。
時間が経過しても特に何も起きず、俺に出来る事は気体の様な身体を動かす事だけ。
普段の俺ならこの状況に恐怖を感じてパニックになってるだろう。
しかし妙なことに危機的状況へのリアクションよりも、無性にあのセリフが脳裏に浮かぶ。
ハッピーダークデイ!!
何故か俺の脳は
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