玩具狸譚《ガングリタン》 ∵オマツリバヤシ∵

マツダトイズ

第一話『おまつり《オマツリ》』


……

………。


― たわいない ことばがあなた わたしへと かえしあうだけ それでとろける ―


「あ。コレがいいんじゃない?」

「お、いいじゃん。カワイイ。」

「でしょ?ほら、コッチも。」

趣味しゅみいいなぁ…おっ、うっま!」

「でしょ?でしょでしょ?? …あぁ゙~」

「でゅふ!にあってるねぇ。 …おお゙~」

「すっごいフィットかん最高さいこうだわ~。」

「ホントだ、マジすっげぇ着心地きごこち…。」

「あぁ゙~…アァ~アー。あァ。うふふ」

「おお゙~…オオ゙ッオー。おォ。フフフ」

「…なじんだァ。サイコー。完璧かんぺきこえまんま♡」

馴染なじんだ!もうわかんねぇだろ♡ おやでもな!」

「じゃ、おまつりこオマツリ!一緒イッショにたのしも!!」

「ああ、イこう!キセイして食事ショクジするなんて最高サイコウだ!」

「わーい!そのアトははんしょくハンショク!だよネ!」

「ああ、あさまでずっとさ!ダシマクルヨ!!!!!」

「お゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙まつり―――――――♡!!」

「オ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙マツリ―――――――☆!!」



…2025ねん晩夏ばんか


万博ばんぱくにぎわう、大阪府おおさかふ兵庫県ひょうごけん湾岸わんがんおもとする地域ちいきと、

西日本にしにほん広範囲こうはんいにおいて。一夜いちやにして数万にん犠牲ぎせいとなる、

大規模同時多発不審死事件だいきぼどうじたはつふしんしじけん』が…発生はっせいした。


多数たすう被害者ひがいしゃは、骨格こっかくのぞ体内組織たいないそしきをすべてうしなっており、

体毛たいもう眼球がんきゅう皮膚ひふつめ口腔こうこう食道しょくどう消化しょうか器官きかん肛門こうもんなど、

外界がいかいへの接点せってんとなる表面組織ひょうめんそしき完全かんぜん維持いじされた状態じょうたい発見はっけんされた。


政府せいふ隠蔽いんぺいしようとしたが、勿論もちろん無駄むだだった。


その『完全かんぜん皮膚ひふ』の内側うちがわには、

ちいさな球状きゅうじょう物質ぶっしつがびっしりといており。

無数むすう繊維質せんいしつうごめく、大量たいりょうしろ粘液ねんえきおおわれていた。


ひどく、生臭なまぐさい。


…2027年末ねんまつ。いまも 世界せかいで。

疑心暗鬼ぎしんあんきたたかいは…つづいている。


やつらはめると、丸々まるまるとした尻尾しっぽす。


わたしたちの テキは…


オマツリ《惡祭狸》。


― たわいない ことばがあなた わたしへと だましあうだけ とろけてたまるか ―



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る