花筏さんはビタースウィート
@Ama212
プロローグ
第0話
ねえ、優香。
いつも元気で、優しくて。
私の特別なあなたは。
どうしてあんなことをしてしまったの?
――――――――
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群、そんな言葉がぴったりな子が目の前にいたら、あなたはなんて声をかけますか?
これは、そんな言葉がぴったりの女の子が、誰も気づいてくれないコンプレックスと向き合うお話です。
4月7日、入学式の日。
私、花筏(はないかだ)ひとみは高校生になるようだった。
親に無理やり決められた進学先、それは、私の登校意欲を削ぐには十分すぎる調味料だった。
渋々家を出て、学校へ向かう。
家から学校へは電車に乗って、小一時間程度だけど、やけに足取りが重く、まるで拒否という名の怨霊に足を掴まれているようだった。
そんなこんなでたどり着いた、いかにも上品な校舎は、テンションが上がるどころか広すぎて迷子にならないかという不安だけを私に与えてきた。
門の近くには、入学式、そう書かれている看板があった。
他の生徒が家族や友達と看板を囲い、写真撮影しているのを、私は穏やかな眼差しでみることしかできなかった。
正面玄関を通ろうとした時だった。
「あの子、めっちゃかっこよくて美人じゃない?」
そんな声が聞こえてきた。
……もう慣れっこだ、自分で言うのは恥ずかしいけど、私は超のつくクール美人らしい。
だけど、私はそんなことを褒められても嬉しくなんてない。
これは、両親とその周り、私以外が作った造形物。
【偽りの私】なんだから。
ちっちゃくて可愛い!
妹みたいで癒される!
そんな言葉が私はずっと欲しかった。
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