05.歩兵――円卓会議
犯罪組織〈
普段、あまり拠点に戻らない
「よく来てくれたね」
椅子に座っている
「ようこそ、
テーブルを囲むように六つの椅子が並んでおり、五つは既に埋まっていた。
空いている椅子の左から
「あっ、あっ、あっ。これって、まさか……」
「私が最後でしたか!? 最後ですよね!? すみませんすみませんごめんなさいっ! お待たせしちゃってすみませんっ! 皆さんの貴重な時間をドブに捨てちゃってほんとすみませんっ!」
「そうだぞー。おいらたちの時間は貴重なんだ。土下座しろ、土下座ぁー」
「は、はいっ! 喜んで土下座させて頂きますっ!」
「待て待て、
「ひとまず座れ、
「はっ! 恐縮です!」
〈
所属している人物は
お互いの
しかし、どんな経歴の持ち主であれ、全員が
〈
改めて、一同を見回す
人体改造を受けて怪力を与えられたのではないか、などと
考えるより先に身体が動いてしまうのだそうで、気がつくと相手を殺してしまっていることも少なくないらしい。
一方、
相手が忘れたいと思っている記憶しか消せないから万能ではない、と本人は言っていたけれど、
分かることと言えば、見た目の情報――〈
そして、
天才的な頭脳を持ち、あらゆる
(はあ……。こうしてみんなに会うと、自分の場違いさが
「さて。それじゃあ、今回の作戦について説明しよう」
「
「
「ほんとのところは、どういうブツなんすか?
「そのどちらも。いや、人間の願いを全て叶える物だ」
場を沈黙が
人間の欲望には、
「
「いわば、幸運のお守りか……」
皮肉っぽく、
「そ、それは人間が手を出していいものなのか……?」
「俺の決定を疑うか?
「いや、違う! そんなつもりはない……。ただ、怖くなってしまっただけで……」
弁解する
「いや。気持ちは分かるよ、
「
「それで、
「もちろん、殴り込みっしょ?」
「おいらと
「効力が弱まっているとはいえ、完全になくなっているわけではない。正面から攻めても、予想だにしない不運が我々を襲う可能性がある。必然的な状況を、丁寧に整えてやるべきだろう」
「えっと。状況を整える……、というと?」
「怪盗アンノウンを利用する」
「それは……、アンノウンに
「そうではない。具体的な計画を説明する前に、これを見てもらおう」
「
一同は資料を覗き込んだ。
怪盗アンノウンの異能『
皮膚で接触した相手の肉体に憑依できる。憑依している間、元の肉体は動けない。ある人物Aの肉体に憑依したあと、そのまま別の人物Bの肉体に憑依することも可能。
また、憑依中は、憑依対象の記憶を
憑依されている側は、その間、意識を失う。アンノウンが肉体から出ていけば意識を取り戻せるが、憑依されている間の記憶はない。
アンノウンの右腕、
近くにいる他者の思考を読み取る能力。本人の意思に関わらず、常時発動。対象との物理的な距離が近いほど、精度が高まる。
眠っていたり、意識を失っている対象の内面は読み取れない。また、複数人が近くにいると、誰がどの思考をしているのか判断できない場合があるものと見られる。
思考は読み取れるが、細かな感情の
アンノウンの左腕、
幻視によって、自分の姿を別人のように
リアルタイムの映像に限り、カメラ越しなどの間接的な視認に対しても姿を幻視させられる。
他者を変身させたり、人間以外のものに変身したりはできない。
「凄い……。こんな量の資料、どうやって集めたんですか?」
「
と
「さて、奴らをどのように利用するかだが――」
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