第5話

終了まで1日――――北山美貴

「私もう一回優舞にあってしっかり話をしたい。」睦月が急にこんなことを言い出した。「じゃあ連絡しておくね。場所はいつものところでいい?」スマホを取り出してメッセージアプリを開く。「いつも?」スマホから目を離して睦月を見た。「あぁ。喫茶店『皆美』でいい?」「わかった。私がくるっていうのは言わないで。美貴が来るって言った方が来る確率上がるから。」睦月の目は瞳孔まで開いているように見える。「了解。」またスマホに目を落として優舞に送るメッセージを考えて画面を叩く。「私は!優舞がもし私が記憶がなくなっても会いに行くって言ってくれたから会いにいくの。」びっくりして睦月を見ると、餌が欲しい犬のような目でこっちを見ていた。「わかってるよ。」すると、睦月を取り巻く雰囲気が変わった。表情もさっきとは真逆である。特に何をするわけでもなくしばらく美貴を見つめるだけですぐに睦月に戻った。怪訝な表情で睦月を見ていた美貴を可愛い上目遣いで「ん?」と言った睦月は普段より可愛く見えた。



終了まで1日――――西山優舞と東山睦月

テレビは内閣総理大臣暗殺事件というニュースで騒がしい。優舞は美貴との待ち合わせのためある程度身だしなみを整えて急いで家を駆け出した。『内閣総理大臣殺害事件の犯人は東山睦月、東山睦月。今日より指名手配とします。』と誰もいない優舞の家に響き渡った。待ち合わせ場所の喫茶店『皆美』はやってなかったし、その周辺に美貴はいなかった。美貴にスマホでメッセージを送っても反応はない。優舞は息を切らしながら北の方角にある美貴の家へと向かった。美貴は優しくしてくれた。話を聞いてくれた。だからもし何かあったのなら助けたい。「お前はなんであっても美貴を救おうとするだろ?」美貴の家の近くにいたのは以前におばさんを助けている時に喫茶店で話しかけてきた人であった。「なんで考えてることがわかるんだよあんた。」その人の表情は前会った時とは全然違った。「それはまぁそう言う力があるから仕方ないよね。」とこちらにドヤ顔を向けて喋り出した。

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