息のできない夢
深呼吸をすると、リピート再生される映像がある。
〈なんで、何度言ってもできないだよ!〉――怒号する、上司。
〈早く結婚して孫の姿を見せてよね〉――眉をそばめる母。
〈すみません、すみません〉――謝ることしかできない自分。
今、という荒波をかき分ける毎日に、将来を展望する気力もなく、流されてしまいそうになる。
目を閉じると、いつになく夢の世界へと誘われた。
しかし、それがいけなかった。
何も聞こえなかった。何も見えない暗闇に段々と落ちていくような感覚。
ツンと冷たい肌感だけがわかり、海の中にいると理解するの時間は要さなかった。
息が少しずつ浅くなっていく、呼吸する頻度も低くなり、できなくなっていった。
苦しい。苦しい、溺れる。
そう思っても夢は僕を離さない。永遠にも感じられる世界だ。
死んでしまう、怖い。
はあ、はあ、はあ。
目が覚めてから数分、瞼一つ動かせなかった。実際に無呼吸睡眠だったのを感じる。
その時に、わかった。もう、今のままではいられない。
それから数か月、会社の辞職や引っ越しの手続きを進めた。行き先は、福島。
都会と正反対の風景に生活できるのかと不安になる。荒波は未だ、収まってはいない。
けれど、不思議と、息はできていた。
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