童貞センパイと毒舌地味子の美術館 ラブコメ― ダメ出しから始まる恋

のら坊

第1話:いぶし銀の童貞宣言

「オレさー、おかっぱぱっつんの美大生と美術展を見るのが夢なんだ」


緊張のあまり口をついて出たタクヤの言葉に、地味子のケイコはあきれ顔で振り返って言った。


「センパイ、私がセンパイの行きたい美術展につきあってる最中にそれ言います?鬼畜ですね!帰りますよ!」


冷たい抗議の声に、タクヤは慌てて謝る。


「地味子の気持ちを考えずに変なこと言ってゴメン。実はオレ、女子と美術展来たの初めてなんだよ。ちょっと緊張して変なことしゃべっちゃったんだよ」


「オレのバカ!地味子に謝れ!」


と、タクヤはさも他人事のように言ってその場を切り抜けようとした。


ケイコはため息をついて核心を突いた。


「センパイのそういうとこがモテない原因ですよ。童貞だからしょうがないですけど」


その一言にタクヤは、いたずらを怒られた子犬のようにシュンと落胆した。


「どうせ…オレは、の童貞さ」


「センパイ、ってなんですか…なんか、シブイですね」


ケイコは不覚にもプッと吹きだしてしまった・・・


ケイコは一呼吸おいて言う。


「私もちょっと言いすぎました。センパイのの童貞に免じて、チャラにしてあげますよ」


・・・かろうじて、タクヤは救われたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る