第48話

──4月の最終週の土曜日。

 写真部の課外活動として動物園に行く日だ。

 動物園がある最寄りの駅前で10時に待ち合わせし皆で向かうという算段だ。

 飛鳥はつかさと共に駅に向かった。

 電車で向かっていると、途中で電車に乗り込んできた新琉と合流する。

「……新菜さんは?」

「ペットのオカメインコと遊びすぎて準備が遅くなっちゃって。次の電車でも待ち合わせ時間には間に合うんだけど、待ちきれなくて置いて先にきちゃった」

「ええー、インコと遊んでる新菜ちゃん、可愛い!」

 つかさが言うと、「なにそれ、新菜ちゃんばっかり可愛いって言って……」と新琉が唇を尖らせる。

(か……可愛い……)

 つかさが心の中で呟くと、新琉はそれを聞いて満足そうに笑った。

 

           ◇


 待ち合わせの二十分前に着くと、既に顧問の日置ひおき大介や部長の弥生、副部長の直太は待ち合わせ場所に着いていた。

 飛鳥とつかさに気がついた弥生はブンブンと両手を振っている。

「おはよー、早いね」

「おはようございます。先輩たちこそ、早いですね」

「まあ、一応部長と副部長と顧問だしね。──あ、桃華ちゃんと芽以めいちゃんも来たみたいだね」

  弥生は待ち合わせ場所へと向かってくる桃華と二年生の写真部部員である鶴田つるた芽依に気づく。

「おはよ。──あれ? 弟くんは来てるのに、新菜ちゃんはまだ来てないの?」

 桃華がそわそわとした様子で聞く。

 ちょうどその時。駅構内の方に桃華の視線が向けられる。


「あ、来た! ……え、新照院しんしょういんも一緒だ……」

 桃華の言葉に飛鳥もとっさに視線を向ける。

(なんで一緒に……?)

 桃華の言ったとおり、新菜は二年生部員である新照院しんしょういん風雅ふうがと一緒に改札を出てきた。

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