第18話
新琉、つかさと別れ、飛鳥と新菜は二人で住宅街を歩いていた。
──最寄駅で降りた後は徒歩十分程度の道のりだ。
なぜだか、新菜がゆっくりと歩を進めるので、飛鳥はそれに合わせて隣を歩く。
「あの二人、少しは仲良くなれればいいな。せっかく新菜さんが二人きりにしたんだし」
飛鳥がこう切り出すと。
「えっ、なんのこと?」
新菜はキョトン、とした表情で聞き返す。
「新琉とつかさを二人きりにするために俺に声を掛けたんだろ?」
「ええ? 違うよ。私が飛鳥くんと仲良くなりたかったからだよ」
新菜は口を尖らせながら言った。
「そう……なんだ」
飛鳥は続く言葉が見つからない。
バクバクと苦しいほどに心臓が脈打っている。
「あ、そうだ! 今日買ったカメラ、ウチで少し充電して撮影してみない?」
「え!? 今から!? 新菜さんの家に!?」
「うん! 基本的な使い方や撮影のコツなら教えられるし、せっかくだから!」
「ご、ご両親は……?」
「二人とも、まだ仕事から帰ってこないと思うから、大丈夫だよー」
「大丈夫ってなにが!? ──ダメだ。ご両親が不在の時に行くなんて」
新菜は飛鳥の言葉にキョトン、とした表情を浮かべた後、「大丈夫だよー」と言って再度、飛鳥の腕を引っ張る。
思いの外、強い力でグイグイと引っ張り、飛鳥の抵抗は虚しく散った。
──指宿家は立派な一軒家だ。
グレーの和モダンな造りの平屋で、どこを切り取ってもオシャレだ。
リビングに入ると、新菜はすぐに飛鳥が買ったカメラの充電を開始してくれた。
綺麗に整理整頓された室内。木目調の家具で統一されている。
「あ、新菜さんのアイコンの……」
リビングの奥には大きな鳥用ケージが置かれていて、新菜のSNSのアイコン写真になっているオカメインコが二羽、新菜が帰ってきたからなのか、世話しなくケージの入口付近を行ったり来たりしている。
「ただいまー、紅男と紅子ー」
「アハハ、頬が赤いから紅男と紅子?」
「そうだよ、私がつけたの!」
自慢気に新菜が言った。
あまり捻りがないような……と飛鳥は思ったが、口に出すのは止めておいた。
「あとで一緒に遊ぼうねー」
新菜が紅男と紅子に話し掛けると、二羽はまるで分かっているかのように「ピイ」と一鳴きすると、途端におとなしくなった。
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