4:告げられた予兆
それは三年に進級したばかりのことだった。
クラス替えによって、
一方、俺のほうでは小学校の頃から仲の良かった女友達が同じクラスになった。
彼女は俺たち三人の関係がギクシャクしていることにもなんとなく気づいているようで、時折それとなく心配する素振りを見せることがあった。
ある日の休み時間、その女友達が俺の前の席に座ってこんなことを言い出した。
「最近さあ、放課後に変なところで三葉を見るんだよなー」
変なところ? と俺は繰り返す。
話によれば、このところ放課後にある委員会の関係で特別教室棟に出入りすることが多く、その際に付近をうろつく三葉を度々目撃しているということだった。
「声掛けるとあからさまに気まずそうな顔すんだよね。……なんか妙な雰囲気っていうかさ」
確かに、少し妙だと思った。
三葉はどの部活にも入っていない――いわゆる帰宅部である。なにかしらの委員会に所属しているわけでもないと思う。三葉はそういったものをすごく面倒臭がるタイプなのだ。
「委員会が終わるころにはもういないし、誰かを待ってるって感じでもないんだよなー」
遠い視線で、ぼんやりと呟く彼女。
そう言われても、今の俺には三葉の事情など知る由もない。アホ面に疑問符を貼り付けて、ぼんやりとした相槌を返すことしかできなかった。
その話題はそれっきり、さして発展することもなかった。
次の日にはそんな話をしたことすら忘れてしまっていた。
しかしそこで覚えた微かな違和感は、蜘蛛の糸のように心の片隅に引っかかり続けていた。
だから、というべきだろうか。
その〝事件〟が起こったのは、ある意味では必然だったと思う。
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