びっくりコーラに祝杯を
@goshworks
SONG-001a 「ド貧乏物語」
「あー。クソ頭がいてえ」
睡眠不足と栄養不足で身体中から悲鳴が聞こえる。ゴミとか服とかよくわからない何かで散らかった部屋の中、オレは天を仰いだ。
「金がねえ」
どうしょうもないくらいに金がねえ。幸いにも食い物は何とかなってる。家の前にある百均が命綱なんだが、あそこの百円弁当は最高だ。
なにせ、米とおかずがある。
たまに飲む一リットルのフルーツジュースも最高だ。それだけで腹いっぱいになれる。問題は、、
「次のライブどうするよ…」
ライブハウスで演るには、当然チケットを捌かなきゃならない。ひとバンドあたり3万円分ほどなんだが、それをいくらで何枚売るのかは自分たちの裁量でどうにか出来る。
だがまるで売れてないカスバンドの俺達には無駄なプライドほど高いものはないように、それ以上に高いノルマが重く圧しかかってくる。
「ま、いつものことか!」
と開き直ったところで何一つ解決しないんだが、悩んでいても仕方ないので今日もまたSNSで告知しつつ立ち上がってふらついた。
腹減ったな。
百円しかないけど。
重い体とダルい胃袋を抱えて百均まで足を運んで、百円弁当を手にとってレジに向かう途中、オレはどうしょうもない現実に直面して膝を折った。
「しょ、、、、消費税、、、、、」
――――
「おしょーおかえり。なんか買ってきたん?」
ボーカルのようすけが失意のオレに声を掛けてきた。やつとの出会いは割愛するが、最高なボーカルだと思っている。なによりオモロイ。しかもぶっ飛んでる。これはかなり大事な要素だ。ちなみにオレはギターを弾いていて、ベースと三人で暮らしている。
「よーすけ!十円恵んでくれぇ〜!!」
そんなヤツにオレは泣きついた。プライドなどない。そんなものはベランダの鳩に食わせたら糞になって風にさらわれていった。
お、一曲できそう?
プライドなんて食わせちまえ〜鳩の糞がお似合いだぜ〜、、、いけるかもしれん。もはや一億再生は余裕?やはりオレは天災か、甜菜かもしれんな。はぁ。
「ああ、消費税な」
「おお、、行政のクソどもが誰彼構わず毟り取ってきやがる諸悪の根源ムーブで買えなかったんだおおおお」
多分に私見を含んだ理由をぶつける。ともあれまずは腹ごしらえをしなければならない。そのためにはよーすけ様から十円を頂戴しなければならないのだ!ならないのだ!!
「悪い、オレもないわ」
「クソが!!!」
――そのまま喧嘩した。
「ド貧乏物語」
歌詞・oshow
曲・oshow
編曲・NILON
昨日のパンがもう硬い
冷蔵庫空っぽ サイフはペラペラ
シャツはヨレヨレ 靴下も無し
笑っちまうだろう? これが俺の現実
貧乏過ぎて笑えるぜ
生きてるだけで不思議さ
這い上がるしかないけどよでも
この瞬間死にかけてんだ
電気止まっても月明かりがある
水道無くても雨が降る
オマエラとギターがあればさ
なんだってやれる気がするんだ
貧乏過ぎて笑えるぜ
生きてるだけで勝ちだろう
金なんて…欲しいにきまってんだろが!でも
この瞬間必死に駆けてんだ
金持ちのオシャレなスーツ
指を咥えて見てるだけ
ピュアなハートとキラキラの夢
笑える仲間が何よりの宝物さ
貧乏過ぎて笑えるぜ
生きてるだけで大勝利
金があればそりゃいいけどさ
この瞬間に賭けてんだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます