Episode15 トロアの過去
コムロとジョンは数時間、トロアを探し続けた。するとトロアはヴィヴィエ公園にいた。
コムロ「またここにいたのか」
トロア「やっぱりあの機械は偽物って分かっちゃったか」
コムロ「なぜリヨンさんにあんなことをしたんだ」
トロア「君には関係ないよ」
コムロ「別に俺は君を倒そうとかやっつけようとかそういう気は一切ない」
トロア「急にどうしたんだ」
コムロ「俺はただ気になる。なぜリヨンさんにチップを仕込んだのか」
トロア「諦めが悪いね。君には関係ないとずっと言ってるではないか」
コムロ(やはり、正面からでは無理か)
コムロはトロアから事情を聞き出そうとするが、頑なに教えてくれない。何か理由があるのだろう。よりいっそう気になったコムロはどうにかして理由を聞きたいと思った。
コムロ「わかった。じゃあこのことをリヨンさんに全て話す」
トロア「待て、それはやめてくれ」
コムロ「なぜだ?」
トロア「それは…リヨンに言ったらもう友達じゃなくなるかもしれないから」
コムロ「そんなに大切な人ならなぜリヨンに音声変換機を取り付けた?普通は大切な人にそんなことをしないと思うが」
トロア「リヨンしか無理だと思ったんだ」
コムロ「詳しく聞かせてもらおうか」
コムロが完璧に促すとトロアは淡々と話し始めた。
トロア「僕は元々歌が得意ではなかった。音楽の授業ではいつも笑われたり、リヨンと一緒に歌う時もいつも教えて貰っていた。そんな自分に僕は腹が立った。僕が大学生の時、ションソン・デ・ラ・モーンについて知った。そこで僕は今まで散々除け者にしてきたものをそれでやってやろうと思った。しかし、ションソン・デ・ラ・モーンを歌う人は現れず、そのまま月日が流れた。僕が大学を卒業したと同時に今持っている音声変換機を開発した。これは本当に歌が上手な人しか反応しない欠陥品だった。使い道がないなと思っていたある日、街を歩いていると外でとても綺麗な歌を歌う人を見つけた。それがリヨンだった。僕はこの子ならもしかしたらあの機械が使えるかもしれないと思い、リヨンが僕の家に来た時、靴にこっそりとその機械を仕組んだ。リヨンは素直な子ということは知っていた。だからションソン・デ・ラ・レナイサンスを歌えると知った時は人助けをするだろうと思った」
コムロ「ちなみに身内さんは本当にリヨンさんの歌で治ったのか?」
トロア「詳しく調べたところ本当にリヨンの歌声で治ったと言われている」
コムロ「なるほどな」
コムロ「ひとつ聞きたいことがある」
トロア「なんだ?」
コムロ「本当にそんなことをして楽しかったのか?」
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