明日を迎えて
浅野由紀
第1話 2025.11.25
朝7時に起きて昨日買ったクロックムッシュを温めて、ヨーグルトに冷凍ブルーベリーを乗せた。
それをむしゃむしゃと食べて、眉毛だけシャシャっと描いてフリースを着こむ。
今日は最高気温13°で雨も降るらしい。寒くなるだろうなと、夫にも共有する。
「じゃあ、行ってきます。ふーくんも気を付けてね。」
そう言って時計を着けて、家の鍵をじゃりっと持って靴を履く。
全ての行動に力が必要だ。この古い玄関のドアを開けるのも、私には気が重い。
仕事は休職中。ただ立川に映画を観に行くだけ。それでも身体が重い。
最寄り駅に着くと人でごった返していた。それを見るだけでクロックムッシュが出てきそうになる。
ホームに着くと電車が遅れているせいか、いつもより人で溢れていた。
なるべく人が少ないホームの先端を目指す。電車が来る。いつもより人が乗っている。
映画の時間が迫っているので、意を決して乗り込む。
近年ひどくなってしまった男性恐怖症のせいで、おじさんが近づいてくると身体が固まる。
吊革を掴む手が汗で滑る。15分乗ると立川に着いた。
古い映画館に辿り着き、電子チケットを読み込み障害者手帳を見せる。
「ご提示ありがとうございます、Iスタジオです。」
私は頭をぺこりと下げてお手洗いに行ったあと、ジンジャエールを買った。
30分も早く着いてしまったのでスマホでSNSを眺めながら時間を潰す。
5分前になり咳エチケットのお知らせが流れた。
そしてさらに5分後くらいにいつもの映画泥棒の映像が流れ始める。
いくつかの興味のない映画予告が流れ、本編が始まる。
闇バイトから抜け出そうとする青年たちの話だった。暴力描写があまり得意ではないが、覚悟して観た。
案の定グロい描写もあったが、なんだかやるせない気持ちになる話だった。
決して楽しい気持ちになるものではなかったので沈んだ気持ちでカフェにいる。
腹が減ったのでチーズドックとカフェラテを頼んで、映画の感想などをメモにまとめて明日の予定を確認したりした。
私は好きなことを好きなだけやる生活を今送っている。
正直すごく魅力的だし、楽しい。
でも、何かをやること、予定を詰め込むことで存在を確かめている感じがする。
一人で部屋にいると消えてしまいたくなる。仕事のこと、将来のこと、お金のこと、不安で押し潰されそうになる。
私は仕事を辞めようとしている。
退職意向を伝えるのはとても勇気が必要で、怖くて、でも意外とあっさり終わってくれるんじゃないかという期待もあったりして、頭の中がぐしゃぐしゃになる。
好きな音楽を聞きながら、こうしてアウトプットしているだけで落ち着くことがわかったのはとても良い。
読まれなくても、読まれても、私は確かにここにいて、しがない一日を過ごしている。
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