第12話 ドラゴンと名乗るなら強者たれ

 

  

 モンスターを倒し終わったことで出現した出入り口から次の階層へ移動する。

 これでこのダンジョンで俺が到達したことのある階層まで次の階層を残すところになった。


「次の階層でモンスターと戦うのは最後になる予定だ。場合によってはさらに戦うかもしれないが、そうなったら配信はそこで終了だな」


[これ以上先には進まないってことかな]

[もうお腹いっぱいなんですけど]

[なんでこいつ連続で戦ってるのに疲れていないんだ]

[当たり前のように連戦しようとするな]

[見ているこっちが疲れるんだが]

[さらに戦うなら配信はしておくべきでは]


 あの階層の先へはまだ行けたことがないから、行けた場合何が起こるかわからない。そんな状況で配信を続けるのは少々リスクがあるため、配信はしない方向で考えている。


「まあ、次の戦いが終わってもすぐには配信を止めるつもりはないから安心していいぞ」


[安心?]

[そこじゃないんよ]

[まあ、続けてくれるならいいけど]

[やっぱ強い奴って頭のねじ何本か抜けているんだな]

[ああなるほど。絶対にその先は配信するつもりないってことね]


 この先の階層に居るモンスターは3体のみ。

 その3体は全て同じ種族であり、当然3体同時に戦うことになる。


「さて、それじゃあ久しぶりに戦おうじゃないか、ドラゴン君たちよ!」


 新しく階層に入った瞬間に飛んでくる殺気を受けて、気合を入れるために声を張る。

 今までの階層では感じることのできなかった圧。ひしひしと感じることのできる強者のオーラ。


「本当にドラゴンというなら、お前らくらい強くないと駄目だよなあ!」


 俺が戦闘態勢に入ったことを認識したのか、少し離れた位置で様子をうかがっていた3体が同時に俺の前まで移動してきた。


 ざっと見ただけでも、10メートルを優に超す巨大な体躯が地面に降り立ったことで地響きと共にダンジョン内の地面が揺れる。


[(^0_0^)]

[うそだろ]

[これま]

[やめとけ逃げろ死ぬぞ!]

[ど、ドラグーン!?!?!?]

[しかも3体うあ]


 さすがにこいつらと戦う間にスマホを確認する余裕なんて存在しない。


 威嚇交じりの咆哮を放つと3体同時に別方向へ飛び引き、その内1体が上空から体に暴風系の魔法をまとった状態で突っ込んでくる。

 この突進を知っていればドラゴニクスの攻撃なんて大したものではない。


 その攻撃は俺の当たる前から纏った魔法の効果で地面をえぐり取り、その地面だったものを巻き込みながら高速で突っ込んでくる。

 当たればミンチになりかねない攻撃を少し大きめに回避し、最初の一撃をお見舞いしたが、そのまま上空まで逃げられ距離を取られてしまった。


 今まで戦ってきたモンスターと比べ、確実に格の違う相手だ。適当に一撃入れた程度では消し飛ばすどころか動きを鈍らせることもできない。


[やべぇ]

[ドローンばっちり遠くまで避難してて草]

[ドローン君の頑張りによりこの映像はお送りされています]

[よくよく考えたらこのドローンすげえ優秀だな]

[いやいやいや見ている側が現実逃避してんなよ!?]


 続けざまに別のドラグーンが炎を纏った状態で俺に攻撃を仕掛けてくる。突撃ではなく、両腕を使った攻撃だ。

 俺を狙ったその攻撃は地面を焼きながら当たってしまった部分をえぐり取り、その大半を塵に返した。


 この3体のドラグーン。前回来た時も同じように別の属性を纏って戦いに挑んでくる。

 魔法を纏っているため直接攻撃するのが難しいうえ、その魔法は触れただけでも大怪我をしかねない威力を保持している。


「おらよ!」


 こいつにも離脱する前に一撃入れておく。


 俺の武器はこいつらを倒すために作ったと言っても過言ではない。

 魔力を纏わせたとしても普通の武器で攻撃すると、その武器が一度の攻撃で破損しかねないほどあの魔法による防御力は凄まじいのだ。そのため、こいつらに攻撃しても壊れないこいつを作ることにしたわけだ。

 まあ、作ってみて少々過剰だったのではと後悔したわけだが。


[地面消失]

[(((;´Д`)))]

[えぐいよ]

[ドラグーンってこういう奴なんだ]

[やばいやばいやばい。画面越しなのに圧がやばい]


 このまま3体目のドラグーンによる攻撃が来ると思っていたが、どうやらそいつはまだ様子見のようだ。


 最初に攻撃をしてきた風ドラグーンが再度突撃してきたため対処する。また致命傷を与えることはできなかったが、前足を1本切り落とすことに成功する。

 そのまま畳みかけようとしたところで炎ドラグーンも攻撃を仕掛けてきたため、一度距離を取る。


 こいつらの本当に厄介なところは1体ずつの戦闘ではなく3体同時、しかも今みたいに仲間を庇う上、攻撃の連携まで取ってくるのだ。


「まあ、今庇いに来たのは失敗だけどな!」


 再度距離を詰め、仲間を庇ったことでほんの少しの隙をさらした炎ドラグーンの横腹目掛けて攻撃を叩き込む。さすがにこの攻撃は無視できなかったようで、炎ドラグーンは苦しそうな唸り声をあげて俺からすぐに距離を取った。


[すげぇ]

[よく攻撃できるな。下手したら死ぬぞ]

[ドラグーンって3体同時に出るものなのか?]

[ドラグーン複数は聞いたことがない]

[出会ったらほぼ4だからそういう事なのでは]


 嫌な予感がしたので、風ドラグーンを迎え撃とうとしていた場所から咄嗟に飛び退く。それから数瞬もしないうちに上空からその場所へ雷が降り注いだ。


 どうやら炎ドラグーンがまともに攻撃を受けたことで、3体目のドラグーンも戦いに参加することになったようだ。

 これでさらに厄介な状況になったが、実に戦い甲斐のある状況になった。


 そして雷がやんだ瞬間、風ドラグーンが体を捻りながら噛みつき突進をしてきたのでそれを回避する。そして、その回避に合わせ剣を斜めに振り下ろし風ドラグーンを地面にたたき落とした。


 地面にたたき落としたものの突進の勢いが強かったため、そのまま距離を取られてしまう。しかし、地上に落とせば先ほどまでの機動力は発揮できない。

 また上空へ行かれるのは面倒なので、再度飛び立たれる前に風ドラグーンへ一気に距離を詰め、そのまま首を切り落とす。


「これであとは2体」


 こちらから威嚇するように上空に待機している2体のドラグーンに向かってそう言葉を投げかけた。


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