闇の帝王の日常

ポンポコ

第1話帝王、銭湯でぷかぷかする

※この第一話は短編集「物語、はじまり、はじまり」第60話と重複しております。

最初はこの短編集で読み切りにしようかなと思っていたのですが、いかんせん、著者である私がこの物語設定をいたく気に入りまして。

 コメントも多くいただいたので、調子に乗って、連載開始です♬

 なので、第60話をお読みになった方は第二話からどうぞ。




「わが名はダークネス、世の闇を司る者。

 おお、人間よ、闇に染まるのだ。

 この偽善に満ちた世に正義などない。

 争え、そして憎み合え。

 その果てに真の闇の素晴らしさを目にすることになるだろう」。

 

 「ダークネスちゃん、銭湯の湯船にアヒルのオモチャ浮かべたらダメじゃよ。またこの銭湯の女将さんに怒られるよ」。

 

 ここは東京下町。

 そして、ダークネスは近所の銭湯の湯船につかってポカポカ。

 「モフモフダークネス」と言う名のアヒルのおもちゃを湯船に浮かべて、闇について語っていたのだが、同じく湯船につかっていた、近所のおじいさんにアヒルをプカプカ浮かべていることにツッコまれた。


 「じいさまよ、このモフモフダークネスは我がしもべなのだ。一日一回、湯船でプカプカさせないと、ストレスたまるでのう」。


「しょーがないなぁ」と隣のじいさまは楽しそうに言うと、「ふぅ~」と言いつつ、目を閉じ、ご満悦。


 ダークネスもプカプカ浮かぶアヒルとともに、「ぷふぅ~」と心地よいため息をつく。

 ああ、闇の帝王、今日もバイトの疲れを湯船につかって、癒すのであった。


 ダークネス、姿はどうみても小学3年生男子なのだったが、正真正銘、闇の帝王である。

 人間界を観察し、闇を広めるために暗黒界から降りてきた。

 人間の世界に溶け込み、人間の本質を見極めるために、人間と同じように木造アパートに住み、バイトをし、そして、銭湯の湯船につかるのであった。


「ぷは~、風呂あがりのコーヒー牛乳は最高であるな」。

 ダークネスは腰に手をあて、コーヒー牛乳を一気飲みすると、心が平和に満ちた。 

 

 いや、闇の帝王よ、ぬくぬく平和を満喫してる場合じゃないよね。

 もう帝王の本分を忘れとるがな。

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