第9話 逃げちゃダメだ
「今年一杯でこの社員食堂も終わる事になりました。」
突然の料理長からの発表だった。
どうやらこの会社が吸収合併される様でこのビルから撤退するらしい。
折角和気藹々と働けていたのにとても残念だ。
「急な話で、こちらも驚いています。皆さんもそれぞれ次の働き先を探したりと大変だと思います。面接等で休みたい日がある場合はそちらを優先して下さい。」
面接か…
イマイチやる気が起きない。
てかこの職場を離れたく無かったが、仕方ない。
一応生活していかねばならない。
その為には働かなければならない。
倉ちゃんも野原さんもしょんぼりしている。
俺もだ。
ここで働き出して1年半位か…
今は26歳になっていた。
凄く濃かったから長くいた気がしたけど案外短かったんだなあ。
とりあえず家で求人広告をパソコンで探していた。
「うわっ!」
間違えて変なアダルト広告のバナーを押してしまった。
最近巧妙で嫌な位置に置かれていてたまに触ってしまう。
まあ男なんで見てもそれ程嫌でも無いが今は仕事を探しているので邪魔しないでくれよ…
と思っていたが…
何だこれ!?
サムネのGIF動画…
これ…
佳奈ちゃん!?
なんで!?
何か…
ヤバいぞこれ…
沢山の男に…
ヤられてる
どうしよう…
最近やっと少しずつ気持ちが整理出来て来ていたのに…
見たくない…嫌だ…知りたく無い…
でも…
あの日何があったか知らないといけないかも知れない…
今まで逃げてきた。
でも何で最後に佳奈ちゃんがあんな終わり方しなきゃいけなかったか
知らなければいけない。
知って解決させないといけない…
何も出来なかった、気付けなかった俺は見たくない物を避けてはいけない…
そう覚悟して
『この先は有料です』
のバナーを押して進んだ。
○○○○○○○○○○
そこは佳奈ちゃんが言ってたお金持ちそうな家の部屋だった。
女があと2人いた。
みんな佳奈ちゃんみたいに若い子だった。
「さあ、まずはこのジュース飲んでね」
司会みたいな男がオレンジ色の飲み物を運んできた。
男は顔にモザイクがかかっている。
佳奈ちゃん含め3人とも飲んだ。
そして皆目が虚になってソファーに深く沈んだ。
そして皆ピンクのふわふわしたのがついた手錠を嵌められていた。
「それでは誰が一番早く出せるかダービーの開幕です!掛け金は5万から!」
そう言って周りの男達がそれぞれの子に賭けて行った。
「ではスタート!」
そう司会が言うと、3人の子の前ににそれぞれ裸の男が立って口の中にチンコを突っ込んで腰を振っていた。
「1番人気のミホちゃんが優勢か?カナちゃんも舌を上手に使って頑張れ!」
この時点で俺は吐き気を催していた。
「さあ、結果は…大穴のナナちゃんでしたー!」
口から引き抜いて顔に掛けていた。
やめてくれ…
でもまだ動画は序盤だ…
「ではこの後は誰が最初にイクか!さあベット!」
もう無理だ…
俺はこれ以上見れなかった…
多分最後にはあのサムネみたいに皆に輪姦される…
警察に届けるべきだろう…
でも…
この動画をこれ以上晒されたく無い…
裁判とかになれば更に沢山の人に…検証の為に弁護士やら警察、検察、裁判官にも晒される…
今は有料だから見る人も多少限られてる。
佳奈ちゃんが死ぬほど辛かったこの動画を…
どうすれば良いんだろう…
佳奈ちゃんのお母さんに伝えたら…
出来ない
どうしよう
とりあえず『ネット動画・削除・方法』
で検索したらトップに
「荒木探偵事務所」
が出てきた。
藁をも縋る気持ちで問合せフォームに入力した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます