第3話 偽カップル成立2日目
あんなことがあった日の翌日。俺はいつも通り学校へ向かう準備をしていた。リュックを背負い、「行ってきます」と母親に声をかける。すると突然、家のインターホンが鳴った。「はーい」と母が出る。相手は、香織だった。それには母もびっくりしていて、体を少し後ろにそらしていた。「香織ちゃん、久しぶりね。どうしたの?」と母が相手をする。
『えっと…さら、
「ゆうまーーー!香織ちゃんが呼んでるよー!」と母の大きな声が朝から家中に響き渡る。
「はーい」と答え玄関へと向かい、ドアを開ける。
「おはよう。優真君」
そこには学校に行く準備が出来ている香織が立っていた。
「どうした?」「言わなくても分かってよ…学校、一緒に行こ」
との事だった。「ちょっと待っててくれ」と言い、一度ドアを閉め、自室に戻る。
深呼吸をし、心を落ちつかせる。仮にも付き合っているのだ。カップルなんて一緒に学校に行くだろう。
特にでき始めのカップルは。と思いできるだけ緊張しないように荷物を持ってドアを開けた。
「待たせたな」「遅い」「ごめんごめん」「じゃあ、行こっか」と香織が言うと、香織自身の手を差し出してきた。「はい。繋いでいこ」と言って俺の手を待っている。俺も香織が出している方と反対の手を差し出す。それを確認すると、よし。とでも言いたそうな顔で笑っていた。
2人でエレベーターに乗り、エントランスから出て学校へと向かう道を2人で歩く。もちろん、手は繋いだままだ。会話は生まれない。ただ、黙々と2人の足並みを揃えて歩く。ここで聞きたかったことを思い出した。
「あの、この事って誰かに言ったりしてるのか?」と聞くとさも当たり前の事を言うように、
「言ってる訳ないじゃない。まあ、告白とかされたら付き合ってることだけは言うわ」と答えた。
「そりゃそうだよな」と俺が言うと、また沈黙の時間が流れる。何か話題を作りたいが、何も思いつかない。チラッと横を見てみると、香織の横顔がはっきりと見えた。ただ、その顔は少し赤くなっているような気がした。
学校が近づくほど人が増えて自意識過剰なのかは分からないが、少し周りからの視線が増えたような気がする。もしそうだとしたら、香織がどれだけ注目されているかが分かる。
学校に着き、下駄箱に向かう。そこで、
「じゃあ。また放課後ね」「了解。じゃあな」と分かれてそれぞれの教室へと向かう。
席に着き一息ついてから荷物の整理をしていると、教室の前方のドアから田沼が一直線で俺の席に向かってきた。
「更科、隠しても無駄だぞ。お前、彼女できただろ」
「なんでそう思ったんだ?」と聞き返す。
「だって俺見たもん。お前が朝手繋いで学校来てたとこ。」
焦って何とか誤魔化そうとする。
「見間違えじゃないか?そもそも俺に彼女出来るわけないじゃん」「もしかしたらそうかもしんねえけどさぁ。朝、髪が長い人がすぐ横にいたのは覚えてるんだよ」「なら確定できないな」「なんか怪しいぞ、お前」「別になんも怪しくないよ」「ほんとかなぁ…」
と言って田沼は自分の席に戻っていった。
『あぶねえ。何とか誤魔化せたのか?』と心の中で思う。
俺は速攻バレてしまったが、香織はどうなのだろうか。聞こうと思いスマホを手に取るも、やっぱり止めた。これは話題なのだ。大事にしないと。と言い聞かせた。
朝席に着き、荷物を取り出して整理する。それが終わり、一息つくと、
「どうしたの?そんな慌てて」と大方なんのことか想像つくが、何もなかったかのように聞く。すると、
「かお!彼氏できた?」
私の予想は当たっていたようだ。別に認めてもいいのだが、広められても嫌なので、まずは黙っておく。
「見間違えじゃない?」「うーん。よく見えなかったけど、すぐ隣に男の人が立ってたような気がする」
「あの時人多かったからたまたまじゃない?」「まぁそうだよね。かおが彼氏作ってるのそうぞうできないもん」
少し時間が経ち、二葉が席に戻る。そこで、ふと優真がどうなったのかが気になった。スマホを取り出し、連絡先を探すが、見つけた所でやっぱり止めた。そんな事を言うと、自分がバレたと言っているようなものだと思ったからだ。
それより、この事で適当に断る理由を考えなくて心の負担が1つ減った。
いつかは、これが本当になればいいな。
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