第15話

浜松駅前の家電量販店。


休日で人の多い街の中、

俺は――可愛い格好をした美少女2人と並んで歩いていた。


トーコは白ニット+ふわふわピンクのフレアスカート。

小柄なのにニットで強調された胸が歩くたび揺れている。


シズちゃんは黒のワンピースに薄いカーディガン。

落ち着いた服装なのに……桃みたいに丸くて大きい胸が、布越しでも形を主張していた。


(……目線が困る)


今日は家電と機材を買う、ただの買い物のはずなのに。

絶対ただじゃ帰れない気がした。


調理家電フロアに到着する


「シズっち! これ見て!たこ焼きプレート付きのホットプレート!配信でよく見るやつです〜♡」


「可愛いですね……トーコちゃん、欲しいですか?」


「ほしい〜♡」


「じゃ、兄様あにさま。これ買います」

シズちゃんが即買いしていた。


「も、もう買うのか……?」


「トーコちゃん、ご飯作ってくれますし……これくらい当然です♡」


トーコは大はしゃぎ。俺は財布の中身を確認した。


    ◆


同じフロアのマッサージチェアのコーナー


「兄様、これ……気持ちよさそうです」

シズが静かに座り、スイッチON。


ブゥゥゥン……


揺れる。桃みたいな大きい胸が、ぶるんぶるん揺れていた。


「……ん……少し強いです……♡」

シズちゃんの声がやたら色っぽい……。


トーコが肘で俺を小突く。

「先輩、シズっちのおっぱい揺れすぎて、目が離せないですね〜♡」


「いや、見てない!マッサージチェアのボタンを見てただけだ。」


「先輩。顔真っ赤ですよ〜?かわいい♡」



    ◆



PCと撮影機材のフロアへ移動した俺は、高性能のマイクを値札を見て固まっていた。


「3万円……たけぇ……」


迷っていると――

シズちゃんがそっと俺の袖を引いた。


「兄様……そのマイク、すごくいい音です。兄様の声……もっと綺麗に聞きたいので……」


「でも高いし……」


「じゃ、私が買います。兄様あにさまにプレゼントです。」


「なっ……!」


兄様あにさまのイケボ、もっと近くで聞きたいので……♡」


トーコが微笑みながら寄ってくる。

「先輩、愛されてますねぇ〜♪」


3万円のマイク……

次のライフ配信でも、ささやき特訓は免れなさそうだ。



    ◆



マイクをプレゼントしてもらった俺はVR体験コーナーでVR機器を頭に装着する。


海の中の景色が見える。

「うお……すげぇ……リアル……」


泳いでいる魚に手を伸ばすと――


ぷにっ。柔らかいものに触れた。


「いやん♡」


慌ててVRを外すと……トーコが近づいてきて耳元で囁く。

「先輩、おっぱい触りたい時は……VRで倒れたフリしなくても、

おねだりしてくれたら触らせてあげますよ〜♡」


「!!!!!????」


心臓が死んだ。


シズちゃんは後ろで、何も言わずににっこり見ている。

シズちゃんの顔は笑っているのに、俺の背筋が凍る気がした。



    ◆



ランチを食べに、家電量販店から百貨店へ移動することに。

シズちゃんが俺の手をそっと握った。


「兄様……今日……手、つなぎたいです……」


「えっ、あ……」


トーコがうしろでむくれている。

「くぅ〜、ずるい!あとでトーコもつなぐ!」


俺の心拍数は一定に保てない。



    ◆



ランチを食べた後に、なぜか俺は可愛いランジェリーショップにいた。


「先輩、このデザイン似合うかな?」


「兄様、この色……好きですか?」


2人の美少女にブラの好みを聞かれる地獄プレイ。


(店員さんの生暖かい目が怖い。死ぬほど恥ずかしい!!)


そして――シズが俺に近づき、耳元で囁いた。

兄様あにさま……ちなみに……トーコちゃんは……Eカップです……♡」


俺は反射的にトーコの胸を見てしまう。

VR体験の際に触れたやわらかい感触が、頭をよぎる。


すると、トーコがすぐ寄ってきて、耳に息をかけながら囁く。

「先輩のおっぱい星人♡シズっちはね……Fカップで、もうすぐGカップなんですよ〜♡」


思わずシズちゃんの桃のように大きい胸にも視線が飛ぶ。


シズちゃんがくすっと笑う。

「兄様……そんなに興味あるなら……今度、下着姿も見せてもいいですよ……♡」


「ちょっ……!!」


トーコは笑いながら言う。

「先輩、耳まで真っ赤。鼻血出そう~♡」



    ◆



ショッピングを終え、弁天島駅の改札を出る。


夕陽の中、トーコが俺の手を握る。

「ほら先輩、トーコの番♡」


指が絡む恋人つなぎ。ふわふわした手。

幸福が手から流れ込んでくるみたいだ。


「ねぇ先輩……また3人でお出かけしましょ?今日、すっごく楽しかったです♡」


俺とトーコとシズちゃんは、顔を見合わせてうなずき、そして笑った。



    ◆



その日の夜、俺はベッドに入り目を閉じる。

マッサージチェアでぶるんぶるんゆれるシズちゃんの大きい胸。

VR体験で触れてしまったトーコの胸。

EカップとF(ほぼG)カップのトーコとシズちゃんのブラ。


「…………寝れるかよ」


その夜、俺は悶々として、なかなか寝付けなかった。

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