🏀 異能バスケ ~規格外の素人、チート能力でストリートからNBAへ~

@naoyuki0529

第1話

「おい、日向。あと一人足りねぇんだ。ちょっと頼む!」

真夏の午後三時。蝉の鳴き声がアスファルトの熱気と共に蒸し暑さを増幅させる中、日向翔太(ひなたしょうた)は、幼馴染のケンジに半ば強引にボールを押し付けられた。

場所は、駅前の立体駐車場裏にある、いつものストリートコート。彼らがプレイしているのはバスケットボールだが、翔太にとってそれはただの「丸い玉を使った運動」でしかなかった。

「無理だって。俺、バスケなんてマンガで見たことあるくらいだぞ?ルールもよくわかんねぇし、トラベリングってやつやらかすぞ」

翔太はうんざりした顔で、手の中のオレンジ色のボールを見つめた。今日まで彼の人生において、バスケットボールに触れたのは、小学校の体育でやった記憶があるかないか程度だ。

ケンジは苦笑いする。

「いいから、いいから!どうせストリートだ、適当でいいんだよ。とにかく、ボールを持ったら走って、遠くのゴールに投げ込むんだ!」

「……それができたら苦労しねぇよ」

翔太はため息をつきつつも、コートの隅に立たされた。相手チームは明らかに手加減をしている。ただ、彼らのユニフォーム姿や、ドリブルの音を聞くだけで、自分との決定的な「経験の差」を理解できた。

ゲーム開始の合図。ケンジがボールを奪い、翔太にパスを出した。

「ヒナタ!フリーだ、走れ!」

言われるがままに翔太は駆け出した。ボールを地面に叩きつけながら前へ進む、それがドリブルだと認識している。しかし、そのフォームは無様だった。猫が手で水を払うように不恰好で、ボールはすぐに足に当たって明後日の方向に転がっていく。

「あーあ、やっぱりな」と、ケンジが肩を落とした、その時だった。

【ピーーッ】

翔太の視界に、突如として青い半透明のウィンドウが現れた。まるでゲームのステータス画面だ。

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