Page of Lunasellia
会長
本編
まえがき
私はリエナ・グレイシア。魔女です。
この著書を執筆するにあたって、私のことについて少し語らなければなりません。
現在の私は、魔法歴史学の学者であり、友人たちの友人であり、日記を記すことが日課の一人の平凡な女性でもあります。
そして、かつてとある魔法学校で学び、卒業した過去を持ちます。
そんな私が、皆さんに向けていったい何を記すのか。何のために今、恩師から譲り受けた羽ペンを握っているのか。
ええ、もうお分かりでしょう。
あの雲の上に浮かぶ城の物語を、皆さんにお届けするためです。
真珠大理石でできた荘厳な白亜の巨城。世界を飛び回るルーン島の上に佇む、ルナセリア魔法学校。
私の母校であり、私の友人たちの母校であり、世界一の魔法学校であるそこで、私はあまりにも美しく、そして決して忘れられないほどに刺激的な六年間を過ごしました。(もちろん、ほんのちょっぴり危ない目にも遭ったこともありましたが)
マルデア(※私たちの世界での魔法族に対する呼称)である私たちにとっては、思春期を過ごした、あるいは過ごすことになる大切な場所です。
なので、この本はもっぱらガーラ(※非魔法族に対する呼称)の皆さんに向けたものとなっています。
だって、あの学校に通ったほとんどのマルデアは、この本なんか見なくともあの城での思い出を持っているし、それを思い出すのは友人たちとの語らいで十分ですから。
とは言っても、私は歴史学者です。
本を執筆する以上、ただの思い出話として書くわけにはいきません。
なのでこの本に記す記憶は、かつて私が在学中に書いていた自身の日記と、友人たち、そして恩師の皆様に話を聞き、学問的な裏付けを行った上で記すことにしました。
この裏付けのために、当時の学内記録や保存されていた魔法媒体の断片も検証に用いており、時には私の体質でしか話を聞けないような特別な人たち(と言っても、魔力の残滓ですが)にも話を伺いました。
故に、時には私以外の人物の視点で物語をお届けすることになるでしょう。
ですが、それもまた様々なマルデアが集うあの学校ならではの面白さが、きっとあることでしょう。
それでは、まずはあの日の出来事から始めましょうか。
かつて、悲劇的な運命の中にいた私に、温もりを与えてくれた人たちの話をお聞きください。
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