Y‘haInthlei Protocol

璃亜里亭 無音@ティオンヌマン

〇資料探し

「かったるいなあ」

 そうボヤきながら大学内の周密書庫を徘徊する一人の学生が居た。並本陽介、都内の私立大学の文学部二年生であった。

「ええとこれとこれと…あとこれか」

 今回の彼の発表のテーマは芥川龍之介のタ短編小説、『妖婆』であった。とは言っても、作品そのものの研究というよりも、作中に登場する婆沙羅大神という存在についての調査であった。この作品に登場する妖婆とよばれる老人は、婆沙羅大神という存在を信仰し、三十分も川に使っているという描写がある。他の芥川龍之介作品と比較しても特異なものであり、非常に興味が沸いた彼は作品を通じこの婆沙羅大神という存在についての研究発表を行うこととしたのであった。

「川とか海の神性に関する資料、探すと結構あるもんだな」

 数冊の資料を抱え、陽介は閲覧室へ向かった。

 一時間ほど調べものをし、ノートにまとめ終えた頃、彼は資料の本の一部にないやら落書きがされているのを発見した。

「なんだこれ」

 書かれてから年月が経過しているのかインクの色が薄れてしまっているが、それは何かしらのURLであった。

 http://yha-nthlei-archive7gk3.onion/†liber_somniorum†

「URL…?なんでこんな落書きがあるんだ?」

 妙にそのURLが気になった陽介はその部分をコピーし持ち帰ることにした。


※※※


「自分のPCでアクセスするのはさすがに怖いしね」

 学内のPCルームに彼は居た。先ほど発見した謎のURLにアクセスするためだ。インターネットブラウザを立ち上げ、検索欄にURLを打ち込んでいく。しかし表示されたのは「お探しのページは発見できませんでした」という一文のみだった。

「あれ、なんもないのか」

 意味のない適当な落書きだったのか。そう思った彼は荷物をまとめて帰宅しようとした。しかしその時、URLの中の一部が目についた。

http://yha-nthlei-archive7gk3.onion/†liber_somniorum†


「onion…これってダークウェブのURLなんじゃ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る