第12話 ここからここまで頂戴

「まずは、サイズのあった服に着替えないとね」


リサリア達は、ドレスショップに向かった。


「いらっしゃいませ」


優雅なお辞儀をする店員さんが現れて、この店の敷居の高さを感じさせた。

なんだかお高そうな店だけど、良いのかな。


「この子に合う服を用意して欲しいの。最低でも上下10着着ずつ、あとワンピースにデイドレス、ナイトドレスを5着ずつ、動きやすい運動用の服も欲しいわ。靴とバッグ、ヘアアクセサリーも見せてちょうだい。」


スラスラと注文するリサリアにひかりは目を白黒する。


「あのリサリアさん、服はそんなにいるんですか?」

「もちろんいるわ!可愛いひかりちゃんが似合う服は何着あっても足りないわ!」

「そ,そうですか」


燃える瞳に何も言えなかった。深く追求しちゃいけない気がする。

店員さんも目を輝かせながら、ドンドン服を出してきた。


「お嬢様にはこちらもお似合いですわ!」

「どうぞ、ご試着なさってくださいませ!」

ひかりは、とんでもない世界に踏み入れた気がした。


「季節が変わる時にまた来ましょうね!」

「そ、そうですね…」


大量の衣類や小物を買ったリサリアは、ひかりに向かって輝く笑顔を見せた。

大量の服を試着したひかりは、疲労困憊だった。


サイズの合わないワンピースから、小さなレースが可愛い淡いパステルブルーのワンピースに、ひかりは着替えていた。


ピンクのフリルと大きなリボンが付いたフリフリワンピースは、死ぬ気で拒否した。

他にもお人形さんが着るような、フリルレースたっぷりホワイトドレスも止めるように泣いて懇願した。


リサリアさんの要求全てを受け入れてたら、良い大人が甘々フリルとレースな服を着る日々になってしまう。部屋着にジャージ愛用してた私の精神が死ぬ。


ひかりは一刻も早く、働き口を探そうと決意した。


「次は、化粧品や日用品ね。」


これまた、外観からお洒落なお店に入る。店内からはふわりと良い香りがした。


「この子に合ったスキンケア商品と化粧品を一揃え欲しいの。今すぐ化粧もしてもらえるかしら?」

「かしこまりました。どうぞ、こちらへ」

「は、はい」


ひかりは鏡があるカウンターへ誘導され、座る。

軽くお化粧をして、先程購入したアクセサリーをつける。

髪を整えると、ひかりは幼い子供から清楚な女性へ変貌した。


「まあ!ひかりちゃん綺麗!」

「とっても素敵ですわ!」

「えへへ、そうですか?」


リサリアも店員もひかりの変身ぶりに興奮気味だった。

この世界へ来て、周りで小さい可愛いと褒められるようになった。

でも、何が彼らの琴線に触れてるのかさっぱりわからなかったひかりは、大人の女性として褒められて嬉しかった。


「日用品も買い揃えたし、そろそろ帰りましょうか」

「はい!」


2人は大量の荷物を馬車に積み込み、砦へ帰って行った。


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