エウメネスを後継者に選んだアレクサンダー大王 その2

 外からやって来たそのまったくのよそ者が、イズモタケル君の古代の出雲王国やミケーネ王国のような、同じ血の繋がった民族同士としての家族的な紐帯をもつ

「王家と民衆の仲良しクラブ」

 を切り離すためにはどうすればいい?

 王という民族全体の総本家の代表による行政上の統治を、

『加害行為だとなぞらえて』

『あいつはダメ(本当は天使)だ。救世主が外からやって来たぞ!(本当は悪魔) 救世主を支持するぞ!』

 と大衆を煽動する手法は、このとき発明された。

 そこは日頃、人間を動物のように調教していた『奴隷商人ならでは』だな。


 わたしたちが浮遊大陸ティルナノグで倒した天蓋瀑布引き起こしたキングズリー・ヘンリー・エガートン =ケテル。神といえども精神はただっこジジイポセイドンだった2m超えるでかいジジイのアイツ。

 ポセイドンってのは海洋国家の擬人化ならぬ疑神化だ。

 で、ティルスは昔から難攻不落の要塞都市だった。

 現にアッシュルバニパルやバビロンのネブカドネザルもここを攻めて、敗退した。

 ベネツィアも、ティルスをモデルに作った町だ。ヴェニスに行くとよく分かるぜ。


【ヴェネツィアとティルスの3大相似点】

1. 海洋都市国家としての設計思想:

ティルス:本土と島部の二重構造

(これは子どもたちを助けたいと思った、地図上の地形を力技で変えて破った執念のアレクサンダー堤道で破られる)

ヴェネツィア:ラグーンに築かれた人工島群

→ 共に「海が天然の城壁」という発想


2. 交易ネットワーク:

ティルス:紫染料・ガラス製品で地中海を支配

ヴェネツィア:絹・香料ルートで欧州を牛耳る

→ 海上交易ルートの要衝


3. 防衛システム:

ティルス:三重の城壁と艦隊

ヴェネツィア:「水の迷宮」と呼ばれる入り組んだ水路


【ヴェネツィア香料貿易の真実】

1. 主要輸送品:

|香料|原産地|価値(当時)|

胡椒こしょう|インド|金と同価値(粒で支払い)|

肉桂ニッケイ|スリランカ|銀の重量換算|

丁子ちょうじ|モルッカ諸島|1ポンド=牛6頭分|


2. 驚異の交易ルート:

→ インドまでの「三段階中継方式」:

1. ヴェネツィア→アレクサンドリア(ガレー船)

2. アラブ商人→インド(ダウ船)

3. 現地買い付け→行きの逆ルート

 さすがにガレアスでは喜望峰はわたれないな。ガレー船ではな。魔導PCゲームでは渡ってたが、ゲームだけだ。あとこの星の問題国家カイアスもできるか?

 あのカイアスの超魔導士1対1で殺しにいった時、陸上ガレアス走ってたもんなあ。


3. 技術革新:

ガレアス船:全長40m、3本マスト

航海術:「ポルトラーノ海図」でインド洋航路開拓

保険制度:香料価格の3%を航海リスクに充当


4. 経済効果:

→ ヴェネツィアの歳入の35%を香料が占める

→ コショウ1粒=労働者1日分の賃金

→ サン・マルコ寺院の建設資金源

まさにこの香辛料貿易は大航海時代の先駆けとなった『中世のグローバリズム』だ。


 ポセイドンの『疑神化』については……海洋国家の「海の恐怖と恩恵」を神格化

 ティルスのバアル・シャメム(海の主)との習合説あり

 ヴェネツィアの聖マルコ(福音書記者)も「翼のある獅子」で海洋権力を象徴

 まさに海洋国家は必ず『海の暴威と慈雨』を神に求める

 ヴェネツィアの元首就任式では……なんだっけ。地球のこと忘れた。ここじゃ、火明星ほあかりぼしじゃないからな~。


 でも大王は、港から島まで海に堤防を築く、『地図の地形を自分の手で変える』ほどの異様な執念で強引に攻め入って、堕天使ハーフ8000人を皆殺しにした。

 『生贄にされた子どもたちの無念を晴らすために、アレクサンダー大王が』

 な。

 ティルスの王ヒラム・アビフもアレクサンダー大王が1対1で打ち取った。

 残ったフェニキア人2000人は島の城壁の周囲に磔にした。

 もの凄い光景だ。

 元々アレクサンダー大王は人格者で、占領地の文化を尊重してギリシアと中東の融合に努めたヘレニズム文化の生みの親だ。

 そのやさしい彼にそこまでさせるほどの何かがあった。


 ミハエルは魔法で呼び出したアレクサンドロス大王の遠征地図を広げながら、目を輝かせる。


【ヘレニズム文化の5大特徴】

1. 東西融合の「世界市民」思想:

ギリシア哲学 × オリエント宗教

アレクサンドリア図書館に象徴される学際的知識の統合


2. 芸術の革新:

ギリシア的理想美 × エジプト的写実性

→ ミロのヴィーナスに代表される官能的造形


3. 都市設計の革命:

碁盤目状都市計画(ヒッポダモス式)

アゴラ(公共広場)とストア(列柱廊)の普及


4. 科学技術の飛躍:

アルキメデス「てこの原理」

エラトステネス「地球周長計算」

アリスタルコス「地動説」の提唱


5. 宗教的混淆:

ゼウス=アモン神の習合

イシス信仰の地中海全域への拡大


 特に面白いのはあの浮遊大陸ティルナノグで過去に、紀元前4世紀に行った時に出会った天パの鼻でかくんのトレミーくんのアレクサンドリア。プトレマイオスのファロス灯台が、当時の技術と多文化協働の象徴だった点だな。まさに、ヘレニズム文化は……面白いってことだ」

 魔法で呼んだヘレニズム期のコインを指で弾きながら、熱弁を奮うミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵。


「あの暗殺された、悪人ではないけど、人の心の機敏を無視して(エウメネスなどの)反感を買っていたフィリッポスとは違い、現地女性と結婚し、アレクサンダーの部下もそれを真似た。

 降伏した敵にも寛容で。

 ましてや、一般人の大量殺害なんて絶対しなかった人だ。

 戦場に立ってる奴には容赦なかったけどな。さすがに不殺の信念なんて漫画じみた真似はしないよ。自分だけがそれやっても『他の兵士にやられるだけで意味ない』もん。でも一般人には優しかった。

 ティルスやカルタゴなどを始めとするフェニキア諸都市国家においては生贄の犠牲が存在した。

 当初は国家非常の際に限られたが、後にはエスカレートして、公的私的を問わず人身御供を捧げた。

 八岐大蛇に捧げられかけた奇稲田姫くしなだひめのように!

 これは伝説でもなんでもなく、現実としてティルスだけじゃなくカルタゴでも子供の頭蓋骨が大量に発掘されている。

 女にしたらたまったもんじゃないだろう? 発狂もんだわ。ある日お腹痛めて産んだ子どもがさらわれて人身御供で殺されて、犯人は、

『地上の生き物は全部俺たちのおもちゃだ! おれらはネフィリム(堕天使ハーフ)なんだぞ! 人間ごときおもちゃが偉そうに刃向かうな!』

 って逆切れするんだぜ?

 アレクサンダー大王にとって彼らは『敵』ですらなかった。ただの堕天使だったんだ。

 繁栄したティルス・カルタゴの裏に潜む恐ろしさには身の毛もよだつものがあり、ギリシア人は彼らを天道にも人道にも反する民族として心の底から憎しみを抱いていた。

 アレクサンダーが海賊帝国ティルスの覆滅に異様な執念を見せたのも戦略上、経済上の理由によるものばかりではない。アレクサンダーは見ず知らずの子どものために動いた」



「で、なんだっけ。エビデンス欲しいんだっけ。奴らの文書も保管はしてあるんだけどな。でもわからん」

 ミハエルがフェニキアの紫染めの布を広げながら、古代の商人たちの声に耳を傾けるように――

「ええっと、

【フェニキア史料が少ない5つの理由】

1. 商業機密保護:

交易ルート・染料製法を記録すれば競合に盗まれる

航海日誌は暗号化され、船長のみが解読可能


2. 材料の問題:

|史料|現存率|

|パピルス|5%以下(湿気で消滅)|

|杉板|香木として燃やされた|

|金板|溶かされて再利用|


3. 政治的意図:

植民都市で意図的に「現地語」を使用

バアル信仰の文献はローマに破壊された

カルタゴ滅亡時の徹底的な(自ら、セルフで)文書破棄


4. 文字の特性:

アルファベットの祖型ゆえ「簡素すぎる」(そうアルファベットの生みの親なんだこいつら堕天使ハーフは)

碑文は「○○の子△△、商人」程度の短文


5. 現代の影響:

レバノン内戦で遺跡破損

海上都市のため水没史料多数

紫染料の化学反応で文字が消失

 まぁ、最も皮肉なのは……

 彼らが発明したアルファベットが、自分たちの歴史を記録するのに使われなかったことかな。

 だから違うエビデンスを呼び出す」

「は、はい……」

 空夢風音はおずおずと答える。ミハエルは、

「魔法で呼び出すよ。今子どもと嫁の一部アリウスくんに全員戻してもらったからちょうどいい」

 ミハエルがエビデンスを召喚した。

 どさっ!

「ごおおっ、うげええええぇぇぇぇええっ、うぷっ、うげえええええええええっ!」

 空夢風音は、エビデンスを見た途端。涙を流し、吐き出した。

 そこには、殺害された状況を記した地球の英語の資料と共に、絶命した誰かの死体が召喚された。

「エビデンスだよ。調べていいよ」

 ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵は空夢風音にそういう。だが空夢風音はそれどころではない。

 空夢風音は吐く勢いが増している。

「やめて! やえて……!」

 それだけなんとか空夢風音は言えた。それをホワイトライガーのサリサ=アドレット=ティーガーと黒竜のフィオラ=アマオカミは、自分たちのしっぽでどうにか死体を隠す。

 ふたりは女だが平気だ。

 だてにミハエルといないし、ミハエルと出会う前は太陽神、天火明命あめのほあかりが本格的な人類創生以前に直接作って、宇宙空間をさまよい、服一枚で、装備はなしでブラックホールの中などを体験してきているふたりだ。

 ブラックホールの中に比べれば、これくらいどうという事はない。

「わたしはこんな痛ましいことがこれから起こる第三次世界大戦後の貴族が完全支配した人間家畜場の地球を、世界を滅ぼしたの。

 エネルギー波でな。それが悪いことかい?

 この人は大人だけど、子どもがこんな痛ましい姿になるくらいなら、親のカネ使ってソシャゲに課金するいたずらっ子でも生きていてくれた方がマシ。

 子どもが人身御供されるのを黙って見ているのが正しいとは、わたしには思えなかったんでね。

 地球の人には自浄能力がなかったようだから、わたしとサリサとフィオラで、去年の夏地球を滅ぼした。リビアなど、一部を除いてな。

 わたしたちヴァーレンスの民は地球人のようにイントロン壊れたままのジャンクDNAじゃない。

 聖書のアポクリファに書いてある通り、元のイントロンに戻してある。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 このムーンショットを止めろ! 第1部の最初の話の1章の最初のページ『そいつらゲームから出てきたのか?』で書いてある、

「地球の人達って聖書読んでないのかしら?」

 桜雪さゆがネトゲの個人チャットで言う。ミハエルは、

「確か日本では戦国時代って時代に宣教師から聖書もらってそれ翻訳した人がいたようだ。地球人は知らんようだがな。戦国時代のその逸話は。江戸時代の聖書の話は有名みたいだが。

 その戦国時代に日本人が訳した聖書の中に失楽。

 そして、ルシファーがアダムとイブを作った技術を盗みムーンショットにも活用した。

 しかしルシファーはイントロンを使うのはこれは大いなる神しか使えんぞて恐れ慄いてルシファーは人間のイントロンをぐちゃぐちゃにしてイントロンの真価を学者程度には分からなくした。

 そのおかげで遺伝子の塩基配列の中にある無意味な情報=イントロンってアホな認識してる遺伝子工学者が多い。

 イントロンを修復すればエネルギー波とか自前で撃てるようになるのにな。

 地球人でそれ聖書読んで知ってるのいないでしょ? あっち聖書改竄されてるらしいし」

 これである。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 風音も天馬蒼依も寿命もう1200歳まで増えたしな。若い時期あと1000年以上あるぜ彼女も君も。1200歳まで生きた、天蓋瀑布のノアのように。

 だからわたしは手をかざして霊気をこめるだけで外宇宙の悪を100億人単位で倒せる。アリウスくんも。冬華も。さゆも。サリサも。フィオラも。

 日本   10万人

 アメリカ 80万人

 ブラジル 40万人

 カナダ   5万人

 フランス  4万人

 ドイツ  10万人

 メキシコ 4万5千人

 イギリス 23万人

 の生贄にされた子どもも少しは浮かばれるだろう。エビデンスとか言ってる間に、子ども食人鬼に食べられるっちゅーに。この瞬間1秒1秒。



 悪の王たちは、常に★時代を超えて恨みを抱えている★

 1000年経っても恨み骨髄なんて普通じゃねえだろ。

 あとVMAT2遺伝子(小胞モノアミン輸送体2)がない。こいつら。人のふりして、つまり人間じゃねえ。

 『Vmat遺伝子を壊すと、魂と肉体が分離する』霊糸ってわたしは呼んでいる、霊糸切れるんだ。

 その状態で幽体離脱したらもう戻れなくなる。空いた体はヴリルトカゲに乗っ取られてなりすまされる。

 悪には法の支配は実質的になく、権力、暴力、悪。

 悪人は、国境で旅行者を何度も捕食していた。ソニー=ビーンみたくな。


 で、性根は変わってなくて、隣人を虐待し、奪い、殺害する昔のやり方が再び始まった。

 人食いが遺伝子に刻まれてんだよ。

 ネフィリムの遺伝子に。デビルマン。

 地(獄の)球の日本人にも逆方向で遺伝子の刻みってのはある。

『困っている人を放っては置けない』

 これはYAP遺伝子のDタイプがそうしろと精神を良い方向に操作しているのだ。つまり

『お人好し遺伝子』

 だな。

 あとギャンブル止めたいのに止められないとかも遺伝子の指令に従っている可能性があるな。


 ミハエルが魔法で呼びだした遺伝子図譜と日本史書を広げながら、興味深そうに眉を上げる。

「んじゃーまとめるよ。

【YAP遺伝子と人間行動の深層分析】

1. YAP(D系統)の事実:

日本人の約40%が保有(世界で突出)

縄文人から継承されたと推定

協調性・集団適応に関連とされる


2. 利他行動の遺伝的基盤:

|遺伝子|関連行動|長所/短所|

|OXTR|共感能力|過剰な自己犠牲|

|DRD4|リスク追求|ギャンブル依存|

|5-HTT|ストレス反応|過剰同調圧力|


3. 歴史的検証:

江戸期の「村八分」制度:集団規範の遺伝的強化

現代の「過労死」問題:自己犠牲的傾向の『暴走』

ギャンブル:ドーパミン受容体多型の影響説がある


4. 魔術的観点:

縄文の「精霊信仰」が遺伝子に刻印

武士道の「義」は生物学的適応の結果

「お人好し」は生存戦略だった可能性


5. 注意点:

まあ、遺伝子決定論は危険かなあ(環境要因50%以上あるしー)

「やめられない」は前頭葉の課題でもある

同じ遺伝子が文脈で正反対の結果を生む


 特に興味深いのは……この遺伝子配列(Yap-D)、実は中世ヨーロッパで『サムライ病』と呼ばれた。西洋人は自己犠牲的忠誠心の謎をそう解釈したのだ」

 ミハエルが魔法で呼びだした縄文土器から螺旋模様が浮かび上がり、DNA二重螺旋に変化する。

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