第二章

泉、こっちよ。泉。

 笑い声がする。泉はそちらを見るが、光がまぶしくてよく見えない。

 泉。

 声が呼んでいる。光を背に、声だけが聞こえる。泉、泉。

 泉は手を伸ばす。だが不思議と、近くにいるはずのその声の主には泉の手は届かないのだ。

 泉、行きましょ。遅れちゃうわ。

 光のむこうへ、声が消えていく。泉は必死に、それを止めようと手を伸ばす。

 しかし、声はやがて遠くなり――

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