恋ヶ原会長のことなんか絶対スキにならないっ!
@kuri-muburyure
出会い(再会?)
「やっばーい!遅刻しちゃうー!昨日の私のバカー!」
私、桃崎ほのか!今日は待ちに待った中学の入学式。桜色の青春が始まる——はずだったのに!
幼稚園の頃に住んでた街に、お父さんの赴任が終わって戻ってきたのはいいけど、中学に誰がいるかは知らなくて(正確にはラインが繋がってた幼馴染が一人だけいるけど)緊張してなかなか寝付けなかったせいだろうか。初日から遅刻をしそうになっているのだ!
「まずい!ほんとーに時間がなくなってきた!」
幸い土地勘はあるので近道をしようと柵を飛び越えた。でも、運命の女神様は寝坊した私に怒っていたみたい…
「ぐえッ」
「きゃっ!ごめんなさい、今どきます!」
どうやら同じく遅刻しそうな怖そうな見た目の男子生徒を下敷きにしてしまったようだ!おそるおそる彼の顔を覗き見ると、それはそれは深く眉間に皺が刻まれていた。
「おいお前なぁ、もっとちゃんと見とけよ。危ねぇだろうが!おいゴラ聞いてんのか!」
すごい剣幕で迫ってくるので私は怖くなってしまって、プルプル震えながら謝罪の声を絞り出した。
「すみません…」
「謝って済む問題じゃねーんだわ。…ッチ、もういいよお互い怪我ねーし。」
あれ、意外と優しい…
「早く行かねぇと遅刻すんぞ。」
「あ、ほんとだ!ほら急ごう!」
「俺は忘れ物したから取りに戻る。先行ってろ。」
「一緒に戻る?二人なら怖くないでしょ?」
「ッ…!いや、流石にダセェからいい…」
「そう?じゃあお互い頑張ろうね!」
そうして私は学校に向けて走り出した。意外にも優しかった彼の名前を聞き忘れたことに気づいたのは校門にたどり着いた時だった。
「しっかし、ほのちゃんと同じ中学に通えるとはな…これからは俺が守ってやる。」
男はラインのトーク画面を見ながらそうつぶやいた。
「二人なら怖くない、か。……やめよう。気にしすぎだよな。あれぐらい誰でも言うだろ。」
そう言ってゆっくりと校門の方へ向かって歩き出した。
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